7. 異世界ほのぼの日記3 ㉛~㉟
-㉛ 好美と真希子の新事実-
懐かしい服を着た自分の姿を見て涙する恋人を見て、思わず好美は笑みがこぼれていた。
好美「何で泣いてんの、大袈裟だよ。」
守「悪い、色々と思い出してな。」
守はこの姿が見たいが為、というより好美に会いたいが為に自分がどれだけの苦労をしたかを思い出していた。好美の事故の後から起きた良かった事も悪かった事も全て含めて。
守「生きてて、本当に良かった・・・。」
好美「何言ってんの、私達一度死んでるじゃん。」
皮肉を言っている様だが間違ってはいない、死んでなかったらこの世界にいる訳が無い。
守「ごめん、言葉が足りなかった。こっちの世界で好美が生きてて良かったと思って。」
好美「でも結愛から私の事聞いてたんでしょ、それで安心してたんじゃないの?」
結愛が元の世界に現れた時、テレビで「貝塚財閥代表取締役社長死亡」のニュースが流れていたので結愛の存在すら半信半疑だったというのに、その結愛から好美について聞いたところでどう信じろと言うのだろうか。
守「誰だって思わないだろう、死んだ先にこんな世界が広がっているだなんて。そりゃあ「あの世って良い所なのかな」って考えた事はあるよ。でもまたこうして好美に会えるとはな、俺って幸せな人間なんだな。」
好美「元の世界で結構苦労したって言ってたじゃん、きっとそれが報われたんだよ。」
守「そうだな、そう言う事にしておこう。」
好美「何それ、やだ。」
こう言いつつもまだ笑っていた好美は、先程の言い争いの間にすっかりぬるくなってしまったビールを掴み取った。
好美「あらま、でももう一度冷やせば良いかな。」
そう言うとピューアから教えて貰った『冷却』の能力でキンキンになるまで冷やした。
守「お前、そんな事も出来るんだな。」
好美「エヘヘ、一緒に働いている人魚(ニクシー)の人に教えて貰って『作成』したんだ。今度守にも紹介してあげるね。」
次の瞬間、好美はある事を忘れていた事に気付いた。
好美「不味っ!!忘れてたよ、一度ぬるくなったビールって吞めたもんじゃないのよね。」
すると、好美の様子を『察知』していた先程のニクシーから『念話』が飛んで来た。
ピューア(念話)「好美ったら、相も変わらずドジなんだから。」
好美(念話)「笑わないでよ、仕方ないじゃん。」
2人の会話が聞こえていたのか、守は首を傾げながら尋ねた。
守「どちら様?」
好美「さっき言ったニクシーのピューアだよ、ずっと私達の様子を伺っていたみたい。」
守「確か・・・、今度紹介するって言ってた人だよね。」
すると好美は「暴徒の鱗」のシフト表を片手にピューアに『念話』を飛ばした。
好美(念話)「ねぇ、今夜休みでしょ?一緒に呑まない?紹介する手間省けるし。」
ピューア(念話)「何それ、でも暇だから行くわ。」
そう言うと『瞬間移動』で2人の目の前に現れた、その姿は何処からどう見ても休日のジャージ姿の人間にしか見えなかった。髪が少し青みがかった金髪だということ以外は。
ピューア「へぇ・・・、この人が守君か。何よ好美、良い男じゃない。妬いちゃうわ。」
好美「良いじゃん別に、取り敢えず呑もうよ。」
3人は冷蔵庫からビールを取り出し、すぐに開けてテーブルに向かう事無く一気に煽った。
ピューア「ああ・・・、美味し・・・。気分良いから何か作ろうか、師匠直伝のやつ。」
好美「良いね、じゃあ守も何か作りなよ。真希子さんから教えて貰ったやつ。」
守「えっ?!この人の師匠って母ちゃんなの?!」
-㉜ 師匠との出逢い-
守は目の前にいる2人の言葉に耳を疑い、確認する為に生まれて(若しくは一度死んで)初めて会った人魚(ニクシー)に聞き返した。
守「えっと・・・、ピューアさんでしたっけ?貴女の師匠が俺の母親って言うのは本当ですか?」
ピューア「何、敬語なんて使わなくていいから普通に話そうよ。それにピューアで良いよ。」
好美「そうだよ、この子によそよそしくしなくて良いから。」
ピューア「何であんたが答えんのよ。」
台本を用意して練習した漫才の様な会話を交わしていたが、全く答えを聞く事が出来ていない。
守「そうか・・・、それでマジな訳?俺の母ちゃんがピューアの師匠なの?」
ピューア「そのはずだよ、確か宝田真希子さんって言う人だったと思うんだけど。」
守「確かに・・・、母ちゃんだ・・・。」
守は真希子の名前を聞いて安心するどころか少し不安になっていた、確かに元の世界で真希子の作った家庭料理を食べてはいたが、スーパーでのパートや株取引、そして王麗との捜査(というより走り屋としてのバトル)で大忙しだった為に松龍のカウンターで龍太郎と2人で食べたり、家で自炊していた事が多かったので守の方が料理の実力はあったのだ。どちらかと言うと守が真希子に料理を教えていた事の方が多かった様な気もした。
好美は守の目が泳いでいた事を不審に思っていた。
好美「どうしたの?何かあった?」
守「いや・・・、この前和風出汁をブイヨンと勘違いしていたから母ちゃんに料理を習う人なんている訳が無いと思ってさ。」
ピューア「それがいるんだな・・・。」
守にはもう1つ気になる事があった。
守「そう言えばピューア・・・、は普段好美と一緒に仕事をしているって聞いたけど。」
ピューア「そうそう、好美がオーナーをしている拉麵屋でナイトマネージャーをしてんのよ。以前は寿司屋で板前をしてたけどね。」
守「板前?!じゃあ、母ちゃんに料理を習う必要なんて無かったんじゃないの?どっちかって言えば逆と思うけど。」
冷蔵庫の中身を確認して何を作ろうかを考えていたニクシーは自分の答えに驚く守に対し、真希子が自分と出逢った時の事を師匠から聞いたままに話した。
当時、ネフェテルサ王国にある湖の周りを散歩していた真希子は少し離れた所で女性が寝ている事に気付いた。
真希子(当時)「あら大変じゃないか、取り敢えず行ってみるかね。」
真希子が急いで近寄ると寝ていたのはまさかの人魚だった、真希子は目の前の人魚が言葉を話せるか不安になりながら恐る恐る声を掛けてみた。
真希子(当時)「何処からどう見ても人魚だね・・・、わたしゃ初めて見たよ。大丈夫かな、確か人魚って神経質だって聞いた事が有るんだけどそんな事言ってる場合じゃないか。ちょっとあんたー、大丈夫かい?人魚の癖に溺れちゃったのかい?」
ピューア(当時)「こ・・・、ここは?ここは何処ですか?」
真希子(当時)「ネフェテルサ王国だけど、どうした?」
ピューア(当時)「ネフェテルサですか・・・、またやっちゃった・・・。」
真希子は少し安心した、どうやら人間と同じでちゃんと言葉を話せる様だ。
真希子(当時)「やっちゃった?何をさ。」
ピューア(当時)「実は隣のバルファイ王国からダンラルタ王国にある実家まで泳いで帰省しようとしていたんですが、二日酔いで間違ってここに来てしまったみたいでして・・・。」
真希子(当時)「それは大変だね、それでここからまた泳いで行くつもりかい?」
ピューア(当時)「そうですね、スマホで地図を確認しなおして向かおうと思います。」
真希子は目の前の人魚から「ダンラルタ王国」と聞いてある事を思い出した。
真希子(当時)「良かったら私と一緒に行かないかい?実はテレビでトンカツが美味しいお店があるって言ってたからダンラルタまで行こうと思っていたんだよ。」
ピューア(当時)「良いんですか?」
真希子(当時)「なあに、「旅は道連れ世は情け」って言うじゃないか。でもその姿じゃ・・・、車に乗れないね。」
ピューア(当時)「大丈夫です、ちょっと待っててください。」
-㉝ 人魚の昔の姿-
真希子は言われた通り待っていると驚愕した、目の前にいる人魚(ニクシー)が突然光り出して次第に尾鰭の部分が足へと変化した上に衣服まで出現したでは無いか。ただ次の瞬間、真希子の驚愕は落胆へと変わってしまった。別に悪いと言う訳では無いのだが、ピューアが着ていたのは週末にゲートボールを楽しむお年寄り達が着ている様な小豆色のジャージだったのだ。正直、意外というか何というか・・・。
真希子(当時)「あんた・・・、他に服無かったのかい?」
ピューア(当時)「私、休みの日はいつもこうなんです。家に籠ってずっと酒吞んでるんで。」
真希子(当時)「とは言っても外出用の服位はあるだろう?」
ピューア(当時)「あまりお洒落に興味無いからお金かけたくなくて。」
真希子(当時)「まぁ、あんたが良いなら良いか。」
それから2人は遊歩道を数分程歩いて広い駐車場へと出た、しかし真希子の物らしき車は1台も無い。
ピューア(当時)「あの・・・、お車って聞きましたけど。」
真希子(当時)「うん、すぐ出すからね。折角だから今日はこいつにするかね。」
真希子が『アイテムボックス』から愛車・スルサーティーを出すと、ピューアは顔を赤くしていた。どうやら目の前の車に惚れこんでしまったらしい。
真希子(当時)「いつもは軽バンなんだけど偶に乗らなきゃオイルが腐っちまうからね・・・、ってあんたどうしたんだい?突っ立って無いで早くお乗りよ。」
ピューア(当時)「いや・・・、こんな格好良い車初めてなんで・・・。」
真希子(当時)「はは~ん、さては惚れこんじまったんだね。でも嬉しいよ、ありがとう。」
真希子は笑みを浮かべながら運転席へ乗り込み、クリスタルに魔力を流した。もう既にこっちの世界様に改造を施していた様だ。魔力を得た車がけたたましい排気音を出し始めたのでギアをセカンドへと入れた。
ピューア(当時)「マニュアルなんですね、やっぱりスポーツカーはこうでなきゃですね。」
真希子(当時)「おや?こういうの好きなのかい?私ゃ普段乗る車もマニュアルって決めているんさ、やっぱり車が好きだからかな。」
ピューア(当時)「私もいつかこういうの欲しいんですがね、お金がなかなか貯まらなくて。」
真希子(当時)「その様子じゃそうだろうと思ったよ、仕事は何しているんだい?」
ピューア(当時)「銀行員です、一応正社員で。」
すると、ニクシーの腹の虫が大きく鳴った。何も食べずに出て来たのだろうか。
真希子(当時)「あら、お腹空いてるみたいだね。何か食べては来たんだろ?」
顔を赤らめながら答えるピューア。
ピューア(当時)「ポ・・・、ポテチを1袋・・・。」
真希子(当時)「あんたね、どんな食生活をしてるんだい?」
ピューア(当時)「自炊しないんでカップ麺が中心ですね。」
真希子(当時)「そんなんだからこういう時に腹が減るんだよ、どれ、私と一緒においで。トンカツでも食べようじゃないか。」
ピューア(当時)「あの・・・。」
頭を掻いて何処か言いづらそうにしているピューア。
ピューア(当時)「このトンカツ屋、私の実家なんです・・・。」
真希子(当時)「何だって?!トンカツ屋の自炊せずにカップ麵ばっかりってだらしないったらありゃしないよ、仕方ないね・・・、私が何とかしますかね。」
2人はピューアの実家でトンカツを楽しんだ後、すぐ近くにあるキッチンスタジオへと向かった。もう既に真希子の名前で予約がされていた。
ピューア(当時)「ここで何するんですか?」
真希子(当時)「私が料理を教えてやるよ、せめて一通りの家庭料理は出来る様になっておかないとね。」
そうして今に至る、こっちの世界でも真希子のお節介は顕在している様だ。
ピューア「あの人には恩返しをしなきゃな、どれだけ感謝してもしきれないよ。料理を教えて貰った上に車まで貰っちゃったんだもん。」
守は母に関する良い話を聞いて嬉しくなり、心が温かくなっていた。
-㉞ 番号の理由と世間の狭さ-
守は心が温かくなっていた上にモヤモヤが晴れた様子でもいた。
守「だからか、車はあるのに母ちゃんがいないからおかしいと思ったんだよ。」
ピューア「欲しい車があって買い替えるからってくれたのよ、何処にそんなお金があるんだろうね。」
2人の会話にマンションの大家が口を挟んだ。
好美「ピューア、結愛が自分の会社の筆頭株主だって言ってたじゃん。」
守「こっちの世界でも貝塚財閥は健在なんだな。」
好美「健在どころか貝塚財閥あってのこの世界と言っても過言では無いと思うけどね。」
ピューア「皆貝塚学園で勉強して社会に出ている様な物だから、貝塚財閥様様よ。」
守「ははは・・・、はぁ・・・。」
決して思い出したくはない高校時代を思い出しかけたので話題を変える事にした守の様子を察した好美、そこで彼氏にとって嬉しくなる様な情報を与える事にした。
好美「守、このマンションで真希子さんに会わなかったの?」
守「全然見かけなかったけど、いるのか?」
大家として不動産会社と共有している住民リストをめくる好美。
好美「確かこの辺のページに・・・、あった。この下の階に住んでるよ、1408号室。」
ピューア「あんた、住民の個人情報を他に言っても良い訳?」
好美「親子だから大丈夫でしょ、それに守だって偶には真希子さんに会いたいだろうし。」
守「部屋の番号を知ってたとしても、行き方が分からないよ。」
好美「普通にそこから行けばいいじゃん。」
靴箱の横にあるエレベーターを指差す好美、今更だがやはりエレベーターを降りたらすぐ玄関というのはやはり贅沢過ぎでは無いだろうか。まぁ、マンションのオーナーの特権という事にしておこう。しかし、守にとってはそれ以上の問題が浮上していた。
守「俺、14階に行けたとしてエレベーターでこの部屋に来るための暗証番号を知らないぞ。」
好美「あっ・・・、本当だ。言っておかなきゃ魔力が切れた時に帰って来れないもんね。」
好美は守に4桁の数字を教えた。
守「お・・・、おい、それって・・・。」
好美「そうだよ、守の誕生日にしてたの。守の事忘れない為に、この部屋に帰って来る度に守の事を思い出せる様にする為に、そしていつか守とここで住めるようにする為に。」
ピューア「そう言う意味だったのね、好美の生年月日とかから全く関係無い番号だから何だろうなって思ってたのよ。」
守「と言うか、この暗証番号ってピューアとか他の住民に言って良いのかよ。」
ピューア「結構ここで宅吞みする事が多いからって教えて貰っているのよ、勿論師匠も知っているはずだけど。」
何気ない会話を交わしていると噂になっていたほろ酔いの「師匠」から『念話』が飛んで来た、どうやら3人が楽しそうに酒を酌み交わしている様子を『察知』したらしい。
真希子(念話)「あんた達、私抜きで呑むだなんてどういう了見なんだい!!」
守(念話)「か・・・、母ちゃん!!仕事はどうしたんだよ!!」
真希子(念話)「今日は有給なんだよ、それと守!!このマンションで住み始めてから1回も母ちゃんの部屋に来た事が無いじゃないか、せめて挨拶位はするもんじゃないのかい?」
守(念話)「実際このマンションに母ちゃんがいるのかな・・・、って思ってた事もあったよ、でもスルサーティーだけでは判断できないだろ!!実際ピューアが乗っているし、もう母ちゃんは走らないのか?」
真希子(念話)「あんたったら、母ちゃんから車を取ったら何が残るってんだい。ちょっと待ってな。」
次の瞬間、3人の目の前に真希子が『瞬間移動』して来た。片手には一升瓶。
守「母ちゃん、既に出来上がっているじゃんか。」
真希子「休みの日を母ちゃんが思った通りに過ごして何が悪いんだい、別に迷惑をかけている訳じゃ無いんだから良いだろう。」
守「まぁ、良いけど・・・。それで?最近は走って無いのか?」
真希子「弟子から聞いたと思うけど、買い替えてお風呂山で走っているのさ。勿論、渚や光ちゃんと一緒にね。」
ピューア「因みに私も一緒に走っているからね。」
守「嘘だろ、元の世界と殆ど一緒だな、世間ってこんなに狭かったっけ・・・。」
-㉟ 何で呑もうか-
母との会話の中に聞き慣れた名前が並んでいたが故に少し安心感を持った守は、やはり自分が今いるのは異世界なのかどうかを疑ったが目の前に立つ人魚(ニクシー)や職場にいるライカンスロープ、そして自分の初恋の人の結婚相手のヴァンパイアの事を思い出して改めて自分が異世界にいる事を実感した。しかし、やはり元の世界と変わらぬ姿で母親が目の前に佇んでいるので夢を見ているのかと感じた守は頬を抓って現実かどうかを確認した。
守「いて・・・、いてて・・・。」
真希子「馬鹿だねこの子は、夢でも見ているとでも思ったのかい?」
守「だって元の世界じゃ有り得ねえ話だろ、死んで目の前からいなくなった母ちゃんや恋人、そして(普通に人の姿をしているけど)人魚と酒を酌み交わしているなんて夢にも見ない事じゃんかよ。」
こっちの世界に結構経っているはずなのだが、やはり好美や真希子に比べて短いので2人からすればまだまだ初心者に近い存在なのだろう。
真希子「言いたい事は分かったから呑むよ、ビールのお代わりはあるんだろう?私も貰っても良いかい?」
守「母ちゃん、さっきの酒はどうしたんだよ。」
確かに先程『瞬間移動』してきた時は一升瓶を片手に持っていたはずなのだが・・・。
真希子「あんなのただの水じゃないのさ、もう無くなっちまったよ。」
守「母ちゃん、いくら女将さんがいないからってこっちの世界で羽目外しすぎていないか?」
元の世界にいた頃、毎日の様に「松龍」に入り浸って呑んでいた真希子は家に帰れなくなってはいけないという配慮から王麗によく酒を制限されることが多かった。
真希子「何を言ってんだい、あっちの世界にいた時はずっとあの子の捜査の手伝いをしてやってたんだよ、それなりに礼を貰う権利位はあるはずだけどね。」
2人に関する逸話を知っているが故に否定がしづらかった守、幼少の頃から美麗とよく遊んでいて仲が良かった所以はきっとそこだったのだろうと強く実感した。
そんな中、元の世界での、そして過去の思い出話が続いているのでつまらなくなったマンションの大家や人魚(ニクシー)は少し離れた所で呑み始めていた。
好美「何よ、2人だけで盛り上がっちゃってさ。」
ピューア「良いじゃないのよ、親子水入らずってやつよ。私達は私達で楽しもうじゃないのよ。」
好美「嫌だ!!私は守とピューアの作ったおつまみで酒が呑みたいの!!」
やはり好美がドケチで我儘なのは相も変わらずだ、しかし守とピューアが調理を始めようとしてから結構経っているのに1品も出来ていないのは事実なので2人には早くして頂けたら助かるのだが・・・。
ピューア「急かさないでよ!!と言うかあんた誰よ!!」
守「また出てきやがったな!!生意気言ってないで姿を現しやがれ!!」
好美「それと何回私の事をドケチって言ったら気が済む訳?!」
あら、またマイクが故障したな・・・。こりゃ修理出さなきゃ・・・、すんません・・・、何も気にせずごゆっくりお過ごし下さい・・・。
ピューア「何よ今の・・・、一先ず有り物で何か作ろうかな・・・。」
好美「あまり覚えて無いけど、冷蔵庫の中身何でも使ってくれても良いから。」
ピューア「冷蔵・・・、この魔力保冷庫の事かな・・・。取り敢えず開けてみるか・・・。」
冷蔵庫の中を確認して驚愕した人魚(ニクシー)。
ピューア「何よこれ、酒以外何も入っていないじゃない!!」
好美「あれ?それじゃ覚えて無いはずだね、買いに行かなきゃ。」
好美の言葉を聞いて最初に動いたのは真希子だった。日本酒を一升呑んだ割には、意識はまだほろ酔い状態でいた。
真希子「何もないのかい、じゃあ私が人肌脱ぎますかね。」
守「母ちゃん、何か策でもあるのかよ。」
真希子「母ちゃんの家はここの1階下だよ、どんな物でもすぐ持ってこれるさね。」
母の言葉に嫌な予感しかしなかった守・・・。
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