第14話
「どういうことだよ斗真!」
なぜかチームメイトにキレられている俺。
トレマ当日、現地集合だったので学校にきてみると会場準備のため先に出て行った心たちが忙しそうに動き回っていた。その中に蒼眞の姿はなく、きっとクーラーの効いた教室の中でグルグルと頭を回していることだろう。
そして集まり出したウチのメンバーが準備をしている心たちを見て言った言葉が冒頭の言葉だ。
「何が?」
肩をユサユサと揺らされてキレられる現状が納得できる訳ない。
「何がじゃね〜よ! お前の学校! めちゃくちゃ女子のレベル高いじゃん! 眼福じゃん! ありがとうございます!」
「……目、潰すぞ?」
邪な目で心を見やがったな?
「怖いな斗真。でもその役目、俺に任せてくれない?」
にこやかに近づいてきたモデルばりのイケメン。185センチの高身長から見下ろされたチームメイトは「2人ともこえ〜って!」と逃げて行った。
「あいつは後で◯すから」
「半◯しにしといてやれよ司」
「まあ、考えておくよ。それで斗真、虹色と一緒にいるのが噂の小倉さんかい?」
「どんな噂か知らねぇけど、水色のシャツ着て雨宮先輩としゃべってるのがそうだ」
若干不機嫌そうに答えてしまった俺の様子に、司はクスクスと笑う。
「なるほど。虹色には及ばないかもしれないがなかなかの美少女だ。ウチの学校でも名前が知れ渡ってるくらいだからね」
「まじかよ」
「まじさ。市が洞の3大美女って言えばどこの高校でも有名らしいよ。見てみろよあれ。みんなあわよくば仲良くなろうと必死だろ」
今日はみんなやたらと準備が早いと思ったらそういうこと?
「ちなみに3大美女って心と誰?」
「なんだ、斗真は知らないんだ。3年の虹色と2年の小倉さん、あとは1年の森島———」
「桃香?」
「そうそう、その子。まあ虹色がダントツなんだけどね?」
そう言いながら準備を終えた司は雨宮先輩に話しかけようとしているヤツらの間にはいり邪魔をしていた。
「おはよう斗真。今日はみんなやる気に満ち溢れてるね」
今日もタンクトップにショートパンツの軽装で美少女に見慣れた部活のやつらの視線を集める夏帆ちゃんに話しかけられた。
「ヤル気? ちょっとシメてきたほうがいい感じ?」
「ちょっと斗真? 殺◯でも犯しそうな雰囲気出すのやめなさい」
プラスチックのバインダーの角でガンっとツッコまれる。普通に痛い。
「おはようございます。ひょっとして柴田さんですか?」
そんなやり取りを夏帆ちゃんとしていると他所行きの笑顔を貼り付けただけの心がぴたっとくっつきながら話しかけてきた。
「はい? あ、ひょっとして連絡くれた小倉さん? 今日はよろしく———、うん?」
突然黙り込んだ夏帆ちゃんがアゴに手をやりながら、俺のとなりにくっついている心をいろんな角度から見渡す。
「あ、あの?」
困惑する心に、夏帆ちゃんは被っていたキャップをスポッと心の頭に被せた。
「あ〜! やっぱり。いつも応援に来てくれる謎の美少女! なるほど、斗真の彼女さんだったのね!」
うんうんと頷きながら爆弾を投下。
「「「なにっ⁈」」」
近くにいたやつらの視線が一斉に向き「彼女⁈」と言う言葉とともに波のように広がっていった。
「い、いえっ! 彼女では……その、彼女ではないです。まだ、そのえ〜っと」
あたふたと動揺する心の背中をトントンと優しく叩き落ち着かせる。
「ともだちだよともだち。仲のいい、ね?」
「へぇ〜? ともだちねぇ? それにしちゃあ距離が———」
再び黙り込む夏帆ちゃんがしばらくじっと心を見つめたかと思いきや、ポンと手を叩き破顔した。
「あなた、し———」
「あ〜! 柴田さん! ここじゃ準備の邪魔になるので向こうで話ましょうか、2人で。斗真くんはみんなの手伝いをお願いします!」
過去一のスピードで夏帆ちゃんの口を両手でふさいだ心が有無を言わせない感じで連れ去って行った。
♢♢♢♢♢
「失礼しました」
グラウンドの隅にかほちゃんを連れ出しすことに成功したわたしは気持ちを落ち着かせながら手を離した。
「やっぱり『しんちゃん』よね? 昔ウチにいた」
「はい……、あ〜、うん。久しぶりかほちゃん。覚えてくれていたんだ」
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