第三話 トナカイの日記

12月26日


サンタのクソボケが、いつもアイツばかり目立ちやがる。


何千、何万と道を覚えて子供達の家まで行ってるのは誰だ?


暗い夜道、赤い鼻で明るく照らしてやってるのは誰だ?


サンタの為に12月26日に合コンをセッティングしたのは誰だ?

全部俺じゃねぇか。


それなのに女の子にモテるのはアイツばかり、俺は良い引き立て役さ。


あのオッサンがクリスマスの日に何をしてる?住居に無断に侵入してプレゼントという怪しい物体を置いて行くだけじゃねぇか。


俺のイライラはとうとう限界に達しようとしている。近くに刃物があると良からぬことを・・・いやよそう。まだ大丈夫、まだ俺は手を血で汚さない。





どうもサンタじゃよ。

今、トナカイの日記を見つけて、書かれた最新のモノを見て、ガクガクと足が震えているところじゃよ。

アイツこんなことを考えてたんだ。怖い、本当に怖い。

いつも「サンタさんの為なら何でもします♪」なんて笑顔で言っているのさえ怖くなってきた。

ワシは日記を元あった場所に丁重に戻しつつ、トナカイに優しくしようと心に誓った。

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