警官

「罠の無断使用、傷害罪というところか」

 病院に行って戻り通報したら、程なく巡査が現場に来て事情聴取をする。

「こんな罠を仕掛けてウサギをたくさん狩ったんです!」

 動物愛護者を装い憤慨する。おかげでこのあたりの仲間がほとんどいなくなった。

「窃盗罪と動物虐待も付きますかな。犯人は誰かわかってるんですか?」

「たぶんこの男です」

 森でよく見かける人間を描いた絵を見せる。

「お上手ですね。近くの農家の男です」

 ジュリアンが写真のような絵に感心した。

「見た時間はわかりますか?」

「夜明け直後に見ました」

「でしたら張り込みして現行犯で逮捕しましょう」

「ご一緒しても?」

 可愛いく見えるように首を傾げ甘えた声を出す。

「まあいいでしょう」

 下心が見えたのでジュリアンはメイベルを止めようとしたが、考え直した。

「では私も」

 今度は警官が大柄な彼が上手く隠れられるか懸念して注意した。

「目立たない服を着て来てくださいよ」

 ジュリアンは自分の趣味ではないお下がりの豪奢な貴族服を着ていた。

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