第二の罠
ジュリアンがいなくなったウサギを探し回っているから、この辺りに来たらその時を狙えばいい。あのひとの気配がしたら痛みの恐怖でドキドキしながら、女王様の魔法で治ってしまった方と逆の足で再び罠にかかる。やっぱり痛い。今回も余り深く噛まない様に枝を使ったが、それでも痛い!在らん限りの大声で叫ぶ。
「誰か助けてください!!」
「な…大変だ!大丈夫ですか!?」
ジュリアンが慌てながら罠を外してくれた。
「ありがとうございます!」
また「何だこれ」って言いそうになったわね。
「家で手当てしましょう。失礼します」
まずは予定通り。気まずそうなジュリアンとは逆に二回目でウサギの感覚なので家まで抱っこされれも平然としてしまった。淑女がこんなんじゃいけないわ!と人間の記憶と感情にお説教される。
ご指導に従い家に着いたら恥じらって消え入りそうな声でお礼を言った。
電話でロブを再び呼び出し。
「俺、獣医なんだけど」
最近呆れてばかりだと愚痴った。
「後で病院も行くから応急処置をしてくれ!」
「それより警察に行きましょう?」
「診断書書いて貰って通報だなあ」
思ったより重症で真面目な顔になって獣医は手当をしてくれた。名前や住所は女王様から貰った身分証で事なきを得たが、車を運転出来なくちゃいけない。
メイベル・グロッシュラー。一人旅の絵描きらしい。今は湖の底だそうだ。
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