魔獣化

「何?人間になりたい?」

 湖の精霊王に伏して願い出た。

「お願いします!この怪我の仇打ちと命の恩をお返ししたいのです!」

「ただのウサギじゃ無くなるがいいのか?」

「はい!」

 怪我の仕返しと助けられた恩を返せれば後はどうでも良かった。

「バカめ。よく考えろ。歳を取らず死なない化け物になるのだぞ」

「構いません!」

「全くウサギじゃなくて猪のようだ」

「どうかお願いします!」

 何度も重ねて懇願されて折れた。

「まあいい。私もこの湖が無くなるのは困る。せいぜい仇と恩を返せ」

 歌うような人化け魔獣の呪いをかける。

「怪我の治癒と服はサービスだ。毛皮だから願えば変わるようにしておいた」

「ありがとうございます!!」

「苦労するぞ」

 嘘をたくさん吐かなくてはならないと女王は自分にも戒めた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る