第21話

ボクはあの名前も知らない街を消し去った後、多分北の方角へずっと歩き続けてきた


多分ってのは、方角があっちの世界と同じかどうかわからないから、とりあえずはわかりやすいように、あっちの世界と同じような言い方にした


とは言っても.....


「あれから1週間歩いてるけど何もない.....」


街道を歩いても歩いても、小さな宿場町のとか村にしかたどり着かなくて、後はたまに盗賊に会うくらい


正直もうそこら辺の人間からスキルを奪っても何にもならないし、ステータスも大して高いわけじゃないから、奪う価値がない


まあ、盗賊は見かけたら皆殺しにしているけど


「はあ.....何か起こって.....ん?」


いつも、盗賊が来た時とかように、大体半径25キロくらいに広げていた魔力感知に、やけに大きな反応があった


「なんだろう?」


特に目的もなく歩いているし、なんか久々にイベント的なものがあってもいいな


それに、程よく嬲れるくらいの敵が一番いい


何も抵抗がないと、つまらないし


――――――

――――

――


そして、その反応があった場所にやってきた


が、何かあるわけじゃなかった


ただ単に、魔力溜まりになっているだけで、量的には大体ボクと同じかそれよりちょっと多いくらいだった


「ちぇ.....何かあればよかったのに......」


せっかくなんだから、何かいい使い道がないかなあ


そもそも、ボクって、この世界に来たばかりだから、魔力溜まりで何ができるとかわからないんだよね


「ま、せっかくだし、ちょっとボクの魔力を流して干渉してみるか」


そして、ゆっくりと、ボクの魔力を流していくと.....


「ん?」


若干、地面が揺れたような気がした


「気のせいかな?」


そう片付けて、再び魔力を流していくと.....


「⁉」


今度は先程よりも強く揺れ、それと同時に、猛烈な頭痛がボクを襲ってきた


「うぅあぁああぁぁぁ!」


痛い痛い痛い痛い


頭を直接いじられるような、自分の頭が自分の頭でなくなるような、猛烈な痛みだった


それとともに、自分の魔力の制御ができなくなり、自分の魔力がどんどんと、魔力溜まりに注ぎ込まれていった


ボクは頭の痛さで、感じることはできなかったが、その周辺は大きな地鳴りが起き、あたり一帯の魔物が近くの村や町へ降りていいたらしい


……


頭の痛さが若干落ち着いたと思ったら、今度は体全体が痛み始めた


「うがぁああぁあああぁぁ!」


痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い


さっきの頭をいじられるような感覚よりも、ひどく痛みを感じていた


「い......たい」


それしてボクの意識はそこで途絶えた

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