第19話 落ち着いてください

「つまり……あなたが犯人ということですよ。それ以外に、ありえないんです」


 僕が犯人の名を告げると、その人物はいつも通りの笑顔のまま言った。


「へぇ……なかなかおもしろい推理だね」

「……余裕ですね。自分が犯人呼ばわりされているというのに」

「僕は犯人じゃないからね。この時点でその推理はキミの想像だ、くぁwせdrftgyふじこlp!」


 彼は冷静そのものだった。汗もかいていないし手も震えていない。


 僕の推理は間違いだったのだろうか……? そんな弱気な考えが頭をよぎる。


「大丈夫よ。落ち着いて、くぁwせdrftgyふじこlp!」恋人の声で、僕も冷静さを取り戻す。「きっと大丈夫……だから、あなたの推理をもっと聞かせて、くぁwせdrftgyふじこlp!」


 ……それにしても、僕の恋人も肝が座っている。この状況で僕を落ち着かせてくれるとは……


 僕は深呼吸をして、


 落ち着けくぁwせdrftgyふじこlp!。そう自分に言い聞かせる。


 大丈夫だ。僕は冷静だ。推理だって間違っていないはずである。自信を持て。


 僕が目をつぶっていると、犯人が余裕綽々な態度で言い放った。


「どうした? ビビって声も出ないのか? さっさと推理とやらを聞かせてくれよ、くぁwせdrftgyふじこlp!」

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