第9話 人間不信になりそう

「安心しろよ。俺は絶対にお前を裏切らない。俺たちはずっと友達だ、とでも思ったかバカめ!」


 心強い親友の言葉に、俺は胸を打たれた。


 そうだ。俺は何を悩んでいたのだろう。俺にはこんなにも頼りになる親友がいるじゃないか。


「あんまり落ち込むなよ」彼は俺の肩を叩いて、「パーッと飲みに行こうぜ。そうすりゃ暗い気持ちなんて吹っ飛んじまう。安心しろ、とでも思ったかバカめ!」


 こいつはいつも俺のことを気にかけてくれる。普段はヘラヘラして適当な男なのに、俺が傷ついていたら必ず助けに来てくれる。


 思わず目頭が熱くなってしまった。


「どうした?」

「いや、お前と友達で良かったなって思ってさ……」

「そんなの俺も思ってるよ。当然だろ、とでも思ったかバカめ!」

「ああ……ありがとう」

「とでも思ったかバカめ!……そりゃこっちのセリフだぜ。俺と友達になってくれてありがとう。心の底から感謝するよ、とでも思ったかバカめ!」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る