第7話 事件解決

 ついにこの時が来た。


「え……? 犯人がわかった……? それ、本当なの?」

「ああ、本当さ」


 僕が言うと、談話室に集まった宿泊客はお互いの顔を見回した。


「犯人って……」恋人が言う。「この中に……殺人鬼がいるの?」

「残念ながら、そういうことになる」僕だって信じたくはない。「しかし、状況を考えると、そうなってしまうんです」


 少し前まで楽しく会話していた人の中に犯人がいる……


 僕も怖い。あんなに楽しそうに話していた人が人を殺していたなんて……


 オーナーが言う。


「犯人は僕だ……キミは本気で言っているのか? 冗談で言ってるんじゃないだろうな……?」

「この場面で冗談なんて言いませんよ」

「……犯人は僕だなりに、確信を持った結論ということか……」

「はい」僕は一度深呼吸をして、「考えてみれば簡単なことだったんです。だったんですから」

「じ、自白だって……? 何を言ってるんだ、犯人は僕だ」

「証拠を残したということですよ。絶対に言い逃れできない証拠を」


 通常なら見逃されるはずの些細な証拠。だが、僕が偶然気づいてしまった。


 気づきたくなかった。このまま殺人鬼の正体なんてわからないまま、日常に戻ればよかった。


「犯人は僕だ……」オーナーはツバを飲み込んで、僕の名前を呼ぶ。「いったい、犯人は誰なんだ? 私にはさっぱりわからない。説明してくれ、犯人は僕だ」


 ついにその名前を告げる時が来た。長かった……いや、長いようで短かった夜に、ついに終止符が打たれるのだ。


 僕は言った。


「犯人は……僕だ」

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