第15話 任務の後始末

「キョウ、抜けがけするのは許しません。楓は激おこぷんぷん丸ですよ」

 楓はほっぺをふくらませる。

 リスみたいで、めちゃくちゃかわいい。

「朱雀様、お怪我はございませんか?」

「……ああ」

 僕はうなずく。

 ドキドキと鼓動する心臓をおさえながら。

 今が夜で良かったと思う。

 明るかったら、きっと顔が火照っていることに気づかれてしまったから。

「親しげだけど、キョウと楓は知り合いなの?」

 知り合いなのは知ってる。

 ただし、それは中学生としての関係であって、殺し屋とは関係ない。

 2人が、それぞれの正体を知っているのか怪しい。

 なんとなく、響は気づいていそうだけど……夏絵手はどうだろう。

 ここで「同じ学校です」なんて言われたら、驚くを通り越して、あごがはずれる気がする。

「朱雀様ファンクラブですよ」

 楓は、予想の斜め上を言った。

 僕は眉をひそめる。

 朱雀様ファンクラブって、たしか夏絵手が言っていたよね。

 僕を3号に任命したはず。

 僕が黙っていると、響が手をあげた。

「2号でーす」

 お前だったんかい!!

 そして嬉しそうだな!!

 本人に言えたことがそんなに嬉しいか!?

「3号は、楓が新しく任命しました。楓のクラスメイトです!」

 あ、それ僕です……とは言わず。

 そんなことよりも、やらなきゃいけないことがある。

 今大事なのは、この転がってるユダをどうするかだ。

「……死体の処理は」

「楓のお仕事です」

 僕の言葉を遮って、楓が言った。

 これなら話が早い。

「頼んだ」

「かしこまりました」

 楓はユダに近づく。

 どこからか液体の入ったボトルを取り出す。

「楓、なるべく急いでくれ。爆発音で通報されてるかもしれない」

「はい」

 響の頼みに、楓はうなずく。

 それを確認して、僕と響はその場を足早に離れたのだった。

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