第43話 拳聖キャトレーヴ

「ん。」


何故、僕に向かって突き出すんですか。まさか、反対側を僕に咥えろとでも。

周りもどうするんだって感じで固唾を呑んで様子を見ている。

なんか、咥えないといけない雰囲気になったのでしょうがなく反対側を咥える。

ユイトセインが食べ進んできて唇が触れそうになるので、慌てて咥えていたのを離すとそのまま全て美味しそうに食べてしまった。何がしたかったのかは不明だが一度で満足したのか二度目はしてこなかった。

周りは羨ましそうなのと残念そうな反応が混在している。

ちなみに二つの卓に別れて座っていて、僕の横にはキャトレーブとユイトセイン、向かいにプリメーラ、セットフィーネ、サンクレイドがいる。別れてと言ってもすぐ隣なのでちょっと身を乗り出せば全員の顔がすぐ見られる。


「刺身が来たにゃー。尾頭付きにゃー。カナタ、たくさん食べるにゃ。うちは赤身の鮪とか鰹が好きにゃ。カナタも気に入るといいにゃ。」


大きな舟を象った器に美しく盛り付けられた刺身が運ばれてくると猫さんは大興奮です。次々と頬張って満足そうにしている。

僕も手を伸ばして順番にいただいてみる。魚だけかと思ったら違うものもいっぱいあって猫さんが名前を教えてくれる。

海老にゃー、貝にゃー、蟹にゃー、雲丹にゃー、烏賊にゃー、蛸にゃー。といった具合だ。

海老の小さいのはプルンとしてて甘いぐらいだった。大きいのはぷりぷりしてて濃厚な味わいがして結構気に入った。貝にもいろいろあった。厚みのある身が舌の上でとろけるような食感と濃厚でコクのあるものがあるかと思えば、コリコリとした歯応えが特徴で噛むほどに旨みが溢れ出てくるものもあり、昨日のスッポンを思い出してしまった。

魚も魚でたくさん味わった。大雑把に分けると白身は淡白で、赤身は濃厚な味わいだった。それでも同じ種類でも切り取った場所で味わいが大きく変わることも教えてもらったので奥が深いなあと感じると同時に、食べたいものがその日の気分でも左右されるだろうなとも思った。刺身、恐るべし。


その後もあれやこれやと食べさせられたが、基本的に美味しくいただきました。途中、ディスマルクが下手物を食べさせようとしたので雰囲気で悟って先ずは自分で食べろと押し付けましたけどね。

みんなは何か明日の参考になったんだろうか。そこは僕の気にするところではないか。僕は楽しみに待つことにしよう。


食事が済んでお開きになるとキャトレーブ以外はそれぞれ街へと消えていった。

さて、猫さんや。これからどうしますか。


「もうお腹は満たされたにゃ。するにゃ。」


ああ、そうでしたね。ご飯の前にするか後にするかでしたね。

でも、直球で言われると何か作業的な感じがしますね。


「そんなのはどうでもいいにゃ。この前みたいに訳の分からない内にイカされるのは嫌にゃけど気持ちよくさせるにゃ。」


はいはい、どこでしますか。


「うちの部屋でするにゃ。転移ですぐ行くにゃ。」


しょうがないですねえ。部屋の場所を教えてもらい転移した。

猫さんは寝台のある部屋へ移るなり立ったまま僕の首に手を回して唇を重ねてくる。


「カナタは不思議にゃ。みんなあっという間にカナタの虜にゃ。」


それは「統べる者」だからでしょう。


「そんなことはないにゃ。それだけなら力を渡して終わりだった気がするにゃ。」


そうだな、これまでに会った「捧げる者」達は力をくれた後もみんな僕によくしてくれる。ありがたいことだ。


「仮に今魔王を倒したとしても、その先もずっと一緒にいたいと思うにゃ。プリム達も絶対そうにゃ。全員まとめて面倒見るにゃ。」


えー、全員って何人面倒見ることになるんだろう。気が遠くなりそうだ。


「だけど今はうちだけを気持ちよくさせるにゃ。」


かしこまりー、それでは舐め猫祭りを開催します。ぺろぺろ。ちろちろ。べろべろ。れろれろ。べろんべろん。


「あん…にゃあ…ふにゃん…にゃあん…いいにゃん…ふにゃあ…気持ちいいにゃ。」


寝台に押し倒すと服を捲り上げて丁寧に舐め回してあげる。猫さんはされるがままに身を任せている。


「ああ…いい…にゃ…もっとにゃ…」


舐め猫祭り上半身の部は大好評だったのでお次は下半身の部になります。

着衣をずり下ろして更に丹念に舐め回す。僕の舌が動くとそれに合わせて猫さんのカラダが小さく律動する。吐息も次第に荒くなっていく。


「うちも…カナタ…舐めたいにゃ…」


舐め猫祭り下半身の部はまだ始まったばかりですからちゃんと堪能してください。まだ一番敏感なところなんて全然舐めてませんよ。腕を抑えて起き上がれないようにして執拗に舐め続ける。


「あはっ…いいの…うぅっ…はぁん…」


もう「にゃ」っていう余力も無くなってきたようにゃ。ならば一度最高潮まで一気にいってみよう。既に溢れ出す蜜でぐしょぐしょになっているところへと舌を進める。


「あん…いいのぉ…いっぱい出ちゃう…はあぁっ…」


腰を小刻みに痙攣させると大量の蜜を溢れ出させる。

でもまだまだこれからですよ。

更に硬くなっているところを剝き出しにして舌で刺激を与え続ける。


「あっ…あっ…だめ…これ以上…されたら…おかしく…なっちゃう…あんっ…ああんっ…」


大丈夫ですよ。どこまでも気持ちよくなれますよ。

カラダを反らせたりくねらせて僕の舌から逃げようとするがそんなことは許さない。的確に気持ちいいようにしてあげる。


「ああ…来ちゃう…来ちゃう…なんか…すごいのが…来ちゃうー…あああああああん!」


大きくカラダを痙攣させると絶頂を迎えられたようだ。

でもまだまだ手は緩めませんよ。とことん気持ちよくして差し上げますから僕も気持ちよくしてくださいね。


ひくつくところへと侵入を果たす。


◇◆◇


「うちの心もカラダも全部カナタの虜にゃ。」


余裕の戻った猫さんが僕にじゃれついている。


「前はいつの間にか失神させられたけど、今回はイッてもイッてもイカされまくってやばかったにゃ。頭パーになるかと思ったにゃ。」


今回は「正確無比」どころか「魔眼」さえ使ってないんだけどな。いろんな人としてきているから知らず知らずいろんなものが身についてしまっているんだろうか。何か思い当たらなくもない。

まあ、気持ちよくなりたくてその通りにしてあげられたんだし良しとしよう。


「カナタはうちら以外に何人お嫁さんにするつもりなのか知らにゃいけどほどほどにするにゃ。」


え、どういうことでしょう。


「一晩に一人ずつ相手にして次に順番が廻ってくるのがいつににゃるかわからにゃいのは困るにゃ。月に一回とかは勘弁してほしいにゃ。」


30人以上ってどんだけですか。そんなに養えませんよ。


「そっちは心配しなくてもいいにゃ。うちらがカナタを養ってやるにゃ。カナタは好きなことしてればいいにゃ。」


なんすか、その超ひも生活。


「月一回以下になるようなら一日二人、三人順番に相手するかまとめて相手すればいいにゃ。」


それで僕は好きなことできるんでしょうか。いやいや、それ以前にそんな人数とそういう関係にならなければいいだけの話だ。論点を間違えちゃダメだ。


「大丈夫にゃ。7人とやった実績があるにゃ。」


そんな保証要らないんですけど。


そんなこんなでキャトレーブの部屋を後にして自分の部屋へ戻って横になって漠然と考える。

僕だって男だからプリメーラ達みたいな美女に好かれて嫌なわけがない。歳はちょっと離れているがそんなのは気にしていない。気にしてるのは僕が「統べる者」で彼女たちが「捧げる者」という事実だ。その関係がなかったら僕のことは気にも留めなかっただろうということだ。

だが、彼女たちはそんなことをおくびにも出さない。エクセラやライラ達もそうであったように。知ったうえで更に応援してくれる素敵な人たちだ。僕はそんな彼女たちに甘えすぎていないだろうか。上手く利用していないだろうか。僕に一人を選ぶ勇気はあるだろうか。

その先を考えるのは魔王をどうにかしてからだな。決して逃げたわけではない。そう自分に言い聞かせて眠りにつく。


母さん、父さんに大勢のお嫁さんを紹介する夢を見てうなされた。

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