第26話 圧倒的不利

「遅れてこなかったのー。夜通ししたくないのー?」


ええ、できれば8Pもしたくないです。


「まとめて片付けた方がいいかもなのー。実は優しさだったりするのー。一人ずつ相手にすると丸一日ぐらいかかりそうなのが最低二人はいるのー。」


行きたくなくなってきたよ。


「それじゃー行くのー。」


「カナタさん、それではこの辺にお立ちください。」


誘導された位置に立つとフィオレンティーナさんが場所を移動し何やら操作を始める。


「カナタさん、初めてだと物凄く気分が悪くなるかもしれませんが死ぬことはないと思います。お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


え、直前で何言ってくれてるんですか。絶対わざとですよね。抗議しようとした瞬間、足元が光を帯び始め次の瞬間には全身が光に包まれた。刹那とも永劫とも感じられる時間の中で僕は転移の何たるかを理解した気がした。


「カナター、大丈夫ーなのー。」


ディスマルクさんの呼びかける声に意識が現実に引き戻される。この時、なぜか確信があってステータスを確認するとやはりあった。「転移」のスキルだ。これで転移門ゲートを使わなくても僕が認識できる場所なら何処にでも行けるようになったみたいだ。自力でミースに今すぐ戻ることも故郷のアムラダに帰ることもできるはずだ。ただし、かべのなかにいるってことにならないように気を付けないとね。できるだけ早いうちに発動までにかかる時間ぐらいは確認しておこうかな。いざという時に逃走に使えるかもしれないしね。


「ディスマルク殿、他の十英傑の方は既にいらっしゃっております。が、皆さん緊急招集って何事ですかって感じでご立腹みたいですよ。まあ、通知メッセージのスキルのことだけでも十分に世界レベルでの革新が起きるでしょうけどね。ミースでは何が起きているのですか。」


さては、自分が教えてもらえずに僕と引き合わされたことを根に持ってるな。やられたらやり返す、倍返しの精神ですか。でもやられたのはフィオレンティーナさん達であって他の十英傑の方ではないですよね。それにとばっちりを受けるのは僕なんですけどね。


「みんながどうなるか観察するのー。とても楽しみなのー。早く一部屋に集めるのー。」


言われた職員の方は了解したとばかりに周りに指示を出して、僕たちを案内し始める。

それにしても「捧げる者」はどうしてひと目で僕が「統べる者」って判るんでしょう。


「そんなの知らないのー。でも見ただけで判ったのー。カナタが判ってないのがおかしいのー。あほなのー。」


もう少し言い方を考えてくれると嬉しいです。

実際に、偶然に探知を習得しなかったら「捧げる者」を認識することはなかっただろう。未だにちょっとついてるぐらいにしか思っていなかっただろうとは思いますけどね。本当に何で僕は何も知らないんだろう。理由その1。ディスマルクさんが言ってたように「大いなる存在」が手を抜いて僕に何も教えていない。理由その2。「大いなる存在」は僕に教えたけど何らかの事故で僕が忘れてしまった。理由その3。単に僕が忘れてしまった。僕としてはその2であってほしいかな。何かのきっかけで思い出せたりすると尚良しだ。


「十英傑の皆様にはこちらの部屋でお集まりいただいております。」


「ワクワクなのー。キャットあたりはうれションするかもなのー。運命の扉開くのー。」


部屋の中には十英傑たちがいた。


「おい、ディスマルク。呼び出しといて最後に来るとは…。あ~~~~~~~~!!!」


いち早く開いた扉の方を見た一人の視界に捉えられた。あげた声につられるように皆の視線が集まり、僕を多かれ少なかれ視界に入れる。


「「「「「「「統べる者~~~~~~~!!!!!」」」」」」」


大絶叫の大合唱だ。次の瞬間には妖艶なお姉さんに頬ずりされ、お酒臭いお姉さんに肩を組まれ、猫っぽいお姉さんが足元に纏わりつき、大人しそうなお姉さんに股間を握られていた。え?股間?ちょっと離してください。


「ユイ、真っ先にそこを狙うとは天晴なのじゃ。で、どうなのじゃ。」


「ん。」


言葉少なに親指を立てるユイと呼ばれたお姉さんは僕があちこち抑えられて動けないことをいいことに尚も股間を撫でまわす。


「やろー達はとっとと渡すもの渡して部屋を出るのー。これからお楽しみの時間なのー。」


マジで8Pするつもりか。


「「統べる者」が活きのいい男の子で嬉しいのじゃ。ツヴァイク、可愛い女の子じゃなくて残念だったのじゃ。」


「だな。じゃあ俺様はちょっくら可愛い女の子でも探しに行ってくるわ。頑張れよ、「統べる者」。」


ツヴァイクと呼ばれた長身瘦躯のイケメンが手を差し伸べてくるのでその手を握ると大量の力が流れ込んでくるので慌てて流入先を制御する。


「じゃあな、話せるようになったら連絡くれ。」


ツヴァイクが手をひらひらとさせて廊下へと去ると入れ替わりで筋肉隆々の男が歩み寄ってくる。


「吾輩はドライガンと申す。よろしくお願いする。」


同じように握手を交わすと同じように大量の力が流れ込む。


「オイラ、ゼクスベルクってんだ。よろしくな。」


三度握手をし、力を受け取る。


「ドライガン、勝負しようぜ。」


「よかろう、受けてたとう。」


三人がいなくなると部屋に残った男は僕一人になった。無口なお姉さんはこの間中ずっと股間を撫でている。どういう状況だ。


「それで順番はどうするのじゃ。妾はもう一秒でも待ちたくないのじゃ。」


「あーしは酒の力でなんとかするから後でもいいかものはし。」


「うちも早くしたいのお。ぐりぐりしてほしいにゃー。でも一番はやっぱり何事もプリムにゃ。」


「じ、自分は人前でなんてむ、無理だ。お、お前たちが先にすればいい。」


でも男性陣みたいに力を渡して出ていくことはしないんですね。つまりそういうことなんですね。


「拙者、特に思うところはないでござるよ。」


そして冷静なお姉さんが一人。そう言えばこの人と無口なお姉さんだけ叫んでなかったような。


「それじゃー、とりあえずキャットとセッティーまとめてぶち抜くのー。ユイ、立たせちまうのー。」


「ん。」


無口なお姉さんは頷くや倉庫ストレージから取り出したふわふわの敷布の上に僕を押し倒して顔に跨ると既に剝き出しの彼女の秘部を押し付けてくる。なんだこの速さ。全くついていけないんですけど。そう思った時には妖艶お姉さんも猫お姉さんも既にすべて脱ぎ捨てており、僕を大きくしようと三人の舌が這い回る。


「手が空いてるなら使わせてもらっちゃお。あーしは右手を借りる系。」


そう言って僕の手を自分のローブ(?)の中へと導くお酒のお姉さん。指を二本立たせられて湿ったところへと潜り込まされると器用に腰を使い始める。


「サンクー、左手が空いてるのー。使わないのー。」


「うむ、じっくりと観察させてもらう故、使いたいならお主が使うといい。」


「お言葉に甘えるのー。カナター、私も気持ちよくさせるのー。」


そう言うなり左手を掴んで自分の望むところへとあてがうディスマルクさん。

その頃には妖艶お姉さんと猫お姉さんが向かい合ってお互いの濡れそぼったところで僕を挟み込んでさらに大きくさせようとしている。


「お、お前たち…なんて破廉恥な…。」


恥ずかしがりのお姉さんは両手で顔を覆ってはいるが指が開いていてその奥の目は見開かれている。それ何か意味があるんですか。


「プリム、お主は見たいのか見たくないのか。はっきりせぬの。」


「あ、あんなのが本当に入るのか。信じられないぞ。」


「大丈夫だ。剣や刀ではないのだから裂けたりはするまいよ。」


「し、しかしあの大きさだぞ。鞘と同じように反りが合わぬということもあるのではないか。」


「そうだな、お主にはこの言葉を贈ろう。「考えるな、感じろ。」」


どゆこと?

二人の他愛のない話の間に僕のあちこちは五人の女性のものでぐしょぐしょだ。そして妖艶お姉さんと猫お姉さんの間で話がまとまったようでどうやら最初は猫お姉さんかららしい。いいでしょう、こうなれば全力でお相手しましょう。

こうしていつ終わるとも知れない夜が本格的に幕を開ける。

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