第16話 亜人。それと大きいと小さい
その日の夜。
俺は考える。なぜ負けたのかを。
俺は机に向かい、例の本を開いて考える。
「あの時、突っ込まずに魔法を使っていれば勝てたかもしれない」
そう。あの時の敗因は俺が何も考えずに教官に勝負を仕掛けたことだ。
もし戦い始める前に何かしらの魔法を使っていれば多少は戦えたかもしれない。ちなみに俺が使える魔法は団長に教えてもらった光系の魔法と使えない回復魔法だけである。
「もっと学ばないとなぁ」
この時、俺は思っていた。恐らくこの世界では剣術等の物理的な戦い方よりも、魔法を覚えた方がいいと感じた。
なので俺はこの晩。せっかくの溢れんばかりの体力を使い、この本に書いてある魔法を全て読み込んだ。
「う〜ん。理解はできるけど、魔力が足りなさそうだ」
本の中の「亜人におすすめ」というコーナーにあった魔法達は全てなんとも壮大な魔法しか無かった。
天災を起こすものだったり、時間や空間を変えるもの。この前はその中でも時間系に注目したが、なぜならそれが一番魔力の消費が小さそうだったからだ。勿論面白そうというのもあるが、そもそも使えなければ何も意味がない。
なので、俺は魔法を覚えることより魔力を増やす事に注目した。しかし魔力を増やす方法なんてこの本には載っていない。
「明日、団長に聞いてみるかぁ……」
明日は訓練がお休みなので、団長の元に行くことにして、その本を閉じ、眠りに入った。
――――翌朝。俺は訓練でもないのにいつも通り剣を腰に携え、布の訓練着を来て団長の部屋に向かった。
「 団長。おはようございます」
「……え?」
「は?!」
団長の部屋の扉を開けると、そこには小さい二つと大きい二つが出ていた。しかも、中には何かが入りそうな入り口もあった。その入り口に突入したくなったが、俺はギリギリ理性を働かせてその扉を黙って閉めて無かった事にしようとした。
「………いや、待って」
扉を閉めて、俺は呟く。そしてその扉の先の楽園から「……待ってよ」「見られた?」「うん」「…でもまぁ私達が脱いでるのが悪いんだし」「いやいや普通女性の部屋に入る時はノックするでしょ?」という、会話が聞こえてきた。二人とも意外と冷静なようだ。
それなら――――、
ガチャ。
「入ってくんじゃねぇよ!!!!」
ですよねぇ~。
メアリーは近くにあった花びんを俺の顔に投げつけた。
俺が亜人じゃなければ今頃顔の骨が折れて死んでいるぞ。いくらなんでもやりすぎだろ。
時はしばらくして、俺が再度部屋を出てる間にメアリーと団長は服を着て、こんな俺と話をしてくれた。どうやら許してくれたようだ。
「それで、変態兄ちゃんは何しに来たの?」
許してはいないようだ。
しかし、メアリー。お前は子供だな。団長を見てみろ。―――と思って団長の顔を見てみると、その顔はゴミを見るような目をしていた。
あぁ。とりあえず、
「先程はすいませんでした」
俺はいい年して幼女と年上のオネェさんの前で土下座を晒すとこになった。
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