第2話 豚の角煮がただ、食べたいだけなのに

明日は休みだから寝られる!!!

と前日ウッキウキで、寝ていたのに首が苦しい……。

「んがっ」

「あ☆起きた???」

俺の上に女が跨り、……これだけだったら眼福なのに…

俺の目の前に揺れるおっぱい。

デカメロン…。

俺の遺言はデカメロンになるのか。

いや、ダイイングメッセージか?

というか、なんで…俺殺されかけてんの???

「大丈夫…殺さないからっ…遺体の処理とかめんどうだし…」と満面の笑顔で俺の首をキリキリ締めていく女。

「く…るし」

息が詰まって声が出せない。

苦悶に歪んだ表情を浮かべ、俺はこの見ず知らずの女に殺されるのか…と覚悟を決めた。

と…突然苦しみから解放される。

「ダーリンじゃない…す!!すいません!!!」

腰を上げると女が慌てふためいている。

「は?」首をさすりながら起き上がると、

女はオロオロしながら突然泣き始めた。

もう俺はこの女がわからない。

初対面だし、そりゃそうか。

「とりあえず服着ろよ」その辺に脱ぎ散らかしてある男物のパーカーを渡す。

女の腕を見ると小さな痣が何個もあるのが気になったが、見なかったことにした。

何か事情があるのだろう。

蛇口を乱暴に捻り水を出して顔を洗う。

「…っ。もう人なんて助けないって決めたのに

何してんだおれ」

「ぶっかぶか」と女の声がする

当たり前だ。

コップに水を注ぎサイドテーブルに置く

「ほら、水飲んで帰れよ」

「帰る場所がないんです…」

「は?」

ベッドの上で正座したかと思うと頭を下げられた。

髪の毛からどこか安いシャンプーの匂いがした。

「で?名前は?」

「如月花蓮です♡(きさらぎかれん)」

「それ本名じゃねえだろ」

「……涼音、宮野涼音です(みやのすずね)」

声が小さく、か細くて本当心配になる。

突然彼女のお腹がすごい音を立てて鳴る。

「腹減ってんだろ。今作るから」

この女の声は耳障りじゃねえ。良かった。

別にそこはどうで…もよくはねえか。

「あー…自己紹介してなかったな。俺は、木村修一」天然パーマの髪の毛をガシガシさせながら、台所に置いてある小さな冷蔵庫から

大きい、ブロック肉を取り出す。

背中越しで声がする。

「それ人肉ですか?」

「んなわけねだろ」

危うく大事な肉を落とすところだった。

「冗談です、ふふ」

「ふふじゃねえわ」

背中に柔らかいもん当たってんだけど…

こいつ無自覚!!!

「危ないから!!…離れろ…」

俺は肉を掲げるように、彼女から離れ肉をレンジで解凍する。


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