第122話  一章 最終話 花畑で二人揃って笑い合って /  お花畑に笑われて

  倒れた勢いで花びらが一斉いっせいに舞い上がる。



「「……」」


 目の前には空がいっぱいに広がっている。


 暖かい風が吹き、優しく頬を撫でてくれている。


 俺たちは手を繋いだまま、青色でいっぱいの空を見上げていた。


 ……ふと、視界のはじを蝶々が横切った。


 二匹の白い蝶々だった。


 花に誘われたのだろうか。


 風に舞う花びらと一緒に、二匹の蝶々が楽しそうに飛んでいる。


 そのまま蝶々を目で追うと、隣で横になっているルナと目が合った。


 笑顔でこっちを見ている。


 その満面の笑みを見ると、俺まで自然と笑顔になってきた。

 

 なんだか嬉しくなってきて、なんだか面白くなってきて、二人で大声で笑い合う。


 きっとこの笑い声は、家族のみんなにも、村のみんなにも、アンリおばさんたちにも届いただろう。


 そのぐらいの大声で笑い合った。


 

 横にいるアーちゃんと目が合った。

 

 ただそれだけなのに、私たちは大きな声で笑い合った。


 何がそんなに可笑おかしいのかわからないけど。


 でも、なんだが可笑おかしくて可笑おかしくて、笑い合った。


 お花畑に笑われちゃうね、きっと。

 

 でも、いいんだ! 笑いたいから笑うんだ!




 こうして、俺とルナの冒険……いや、違うな。


 こうして、私とアーちゃんの冒険……えへへ、ちょっと違うね。



 「「そう。”アレクスとルナの冒険譚”が、こうして始まった」」




 どこまでも広がる青空。


 遠くには、多くの色とりどりの蝶々が楽しそう飛んでいる。


 二匹の白い蝶々が、そこに向かって元気に飛んで行った。


 


 一章  俺とルナの旅立ちの話/私とアーちゃんの旅立ちのお話

            

                             終わり


 

 二章に続く……





 

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