第120話

「行こう! ルナ! 」


「うん! アーちゃん! 」

 

 俺たちはもう振り返らない。


 二人で全力で走る。


 景色が流れていく。


 顔に当たる風が気持ちいい。


 こんなに走った事ない。


 走ってるだけなのに凄く楽しい。


 小高い丘が目に入った。 


 そのまま丘の上を目指して二人で一直線に走る。



「わぁ~、すごいすごい! 」


 丘の上には一面の花畑が広がっていた。


 ルナが荷物を下ろして嬉しそうに花畑に入って行く。


 その姿を見ながら俺も荷物を下ろす。


 腰を下ろし、楽しそうに「クルクル」と回るルナを眺める。


 その姿がどこか幻想的に見えて、いつもより可愛く見えた。


 ……少し、少しだけ「ドキッ」とした事は内緒だ。

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