第117話
「「……」」
俺とルナは言葉を失っていた。
きっとこれが「感動」と言う感情なんだろう。
瞬きをする事を忘れ、息をする事を忘れ、口を開けたまま、ただ目の前の景色に圧倒される。
一面が緑で、花が咲いてて、少し凸凹してて、遠くに山が見えて、川に光が反射していて眩しくて、空には鳥が群れを成して飛んでる。
これが「平原」。
先生たちから聞いた話しよりも、父ちゃんや母ちゃん、おばさんたちから聞いてた話しよりも、ずっとずっと凄い。
どこまでも続く緑。
さえぎる物が何も無い青空。
森と違って距離感がわからない。目印が無いせいだろうか?
綺麗だ。でも……
……なんだか吸い込まれそうな気がする。
なんだか足が引っ張られてる感じがする。
一度そう思ってしまうと、なんだか怖い気がした。
……
気が付くとルナの手をそっと握っていた。
そうだよな。俺の隣にはルナがいる。ルナがいてくれる。
「アーちゃんはここにいるんだよ、大丈夫」そんな風に言ってくれた気がした。
ルナはそのまま手を優しく握っていてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます