第107話

 そうだなぁ、最初は肉料理を食べてみるか。


 出来立てほやほやで鉄板の上で「ジュウジュウ」と音を立てている。ねっせられたソースが蒸発? して、美味しそうな匂いが部屋中に広がっている。


 これは、あれだな、見ただけで”絶対に美味い”ってやつだな。


 鼻で大きく息を吸い込む。


 はぁ、匂いだけでもう美味い!


 ナイフで切って、とりあえず一口「パクリ」っと。


 肉汁が口いっぱいにあふれてきた。肉のうま味にスパイス、そしてこのソース。互いが互いを高めている。


 柔らかいのに、しっかりとした噛み応え。


 手が止まらない!


 美味い! 美味いとしか言えない!


 ふぅ~。次に、こっちの魚料理を食べてみようかな。


 これは揚げ物だな。なんだっけかな、たしかタルタルソース? だっけ。玉子を潰した物が上に乗ってる。


 これも、一口「パクリ」っと。


 「サクサク」っといい音を立てる。


 魚のうま味とタルタルソースがからまり、揚げ物なのに意外とサッパリしてる。ソースが少し酸っぱいおかげかな。でもそれがいい味を出してる。



「ん~、美味い! やっぱりアンリおばさんのご飯は美味しいです」


「ふふふ、ありがとう。今回はちょっと頑張ったんだよ」


 ルナも色々な料理を食べて、「ん~」と言いながらっぺたをおさえている。本当にっぺたが落ちそうな顔をしているな。



「おばさま、おばさま! おばさまのご飯が美味しいのは、ズバリ、このスパイスが秘訣ひけつですよね! 」


 ルナがさっき力説していた事を確認する。


 自信満々なのが声の感じから、わかる。



「あら、よくわかったね。このスパイスは私が長年かけて作ったんだよ」


「ああ、本当にアンリのご飯は美味しいよ。……でもこのスパイスが出来るまでは……いでで」


「あんた、ほらもっといっぱい食べな」


「……アンリ、お尻をつねらないでくれ。痛いよ」


 昔から仲が良かった二人だが、今も変わらないみたいだ。


 子供たちも、そんな二人を見て笑っている。


 とても暖かい家族だな。


 そんな家族に囲まれて、俺もルナも自然と笑っていた。


 楽しい食事の時間はあっという間に過ぎていった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る