第104話

 

「それでやっと着くのがキエルの町だ。町と言うのは、そうだなぁ、人がいっぱいいて、建物がいっぱいある場所の事だな」


「人がいっぱいいるの? これくらい? 」


 両手をいっぱいに広げて、人の数を聞いている。


 俺はそのやり方での数え方は知らないな。


 でも、エミールおじさんにはわかる様だ。



「もっとだな」


「じゃあ、これくらい? 」


 今度は男の子二人で手を繋いで、いっぱいに広げている。


 これは何人くらいなんだろうか?



「もっと、もっとだな」


「じゃあ、こーれーくーらーいー」


 子供たち三人が手を繋ぐ。さらに俺とルナが加わり、五人で手を繋いだ。


 その状態で手を繋いで広がる。


 かなりの広さになり、隣の部屋に移動したくらいだ。



「もっとだな」


「それは困る」


 何が?


 

「そんなに人が多いんじゃ、お友達になった時に手を繋げなくなっちゃう」


「ははは、そうだな。それは困っちゃうな。でも、そのくらいいっぱいの人がいるんだよ」


 俺たちだって町に行くのは初めてだ。


 両手いっぱいの友達が出来るのだろうか?


 楽しみだな。

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