第101話


「そういうわけで、俺たちはこのまま冒険に出ます。とりあえずは、森を抜けた先にある”キエル”の町に行きます」


「そうかい。あの町には何回か行った事があるけど、いい町だよ。うんうん、最初に行くのにはいいんじゃないかね」


 最初に行くと言ったが、単純に一番近いから自然とそこを目指すことになる。


 村じゃなくて町。


 初めての町だ。



「ねぇ、ねぇ。母ちゃん、母ちゃん」


「ん? なんだい? 」


「その”キエル”ってとこ、どんなとこなの? 遠いの? 人がいっぱいいるの? 」


 アンリおばさんのすそを引っ張りながら、興味深そうに聞いている。



「そうだね。この子たちも、いつか行くかも知れないからね。少し説明しようかな」


 エミールおじさんが子供たちを椅子に座らせて、お勉強の時間が始まった。


 俺とルナも椅子を用意してもらい、一緒に勉強する。


 アンリおばさんは料理の準備をする様で台所に向かった。



「それじゃあ、問題だ。この村にはいくつの入口があるでしょうか? 」


「そんなの簡単だよ。二つでしょ」


「あっちとあっち」そう言って、二つある入口の方向を指差す。


 その指の先はちょうど反対の方向を指している。


 つまりは俺たちの村、オムタ村とこれから行くキエルの町は反対の方向にあるわけだ。

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