第98話


「……よし、中に入ろうか。アンリおばさんが待ってるぞ」


「うん! 」


 家の中に入ると暖かい空気と一緒に、笑顔いっぱいの子供たちが抱きついてきた。



「アレクス兄ちゃん、ルナお姉ちゃん。こんばんは」


「おっと、ははは。こんばんは。元気にしてたか? 」


「「うん! 」」


 上の男の子二人がアレクスに、一番下の女の子はルナにくっついてきた。



「ルナお姉ちゃん、ルナお姉ちゃん。ぎゅ~」


「はいはい、ぎゅ~」


 ルナも楽しそうに抱きしめ合っている。


 おばさんの子供たちは、最初の冒険の時はまだ赤ちゃんに近い年齢だった。でも今では、一緒に遊べるぐらい大きくなっていた。

 

 一通り子供たちとじゃれ合ってから、おじさんに声をかける。



「エミールおじさん、こんばんは。今日もお世話になります」


「お世話になります」


 女の子を抱っこしたままルナも挨拶する。



「やぁ、いらっしゃい。ははは、さっそく子供たちに捕まってるみたいだね」


 子供たちの頭を撫でて優しそうに微笑む。


 俺は荷物を降ろし、いつもの様に手紙を取り出す。



「はい、これ。父ちゃんから」


「どれどれ、今日は何が……書いて……」


 手紙を読み進めるうちに、だんだん口数が減っていくアンリおばさん。


 読み終わると、エミールおじさんに手紙を渡し、真剣な表情のまま黙っている。



「……そうか、行くんだね」


 エミールおじさんも読み終わると静かに口を開いた。

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