第97話

「え……え? ルナちゃん? どうしたんだい、大丈夫かい? ……何か悩みでもあるのかい? 」


 壁から離れたルナは、恥ずかしそうに頭を下げ、挨拶をする。



「大丈夫ですありがとうございます今日はお世話になりますおばさま」

 

「……そうかい、それならいいけど。とりあえず家に入りなさい、寒かったでしょう」


 手招きをして、先に家の中に入るアンリおばさん。


 でもまた直ぐに顔を出した。


 

「……本当に大丈夫かい? 」


「……はい。本当に、本当に大丈夫です」


「そうかい、ならいいんだけど」


 今度こそ家の中に入るアンリおばさん。


 俺はルナの近くに行き、状態を確認する。


 おでこが少し赤くなっているが……うん、特にケガは無い様だ。 


 よかった。変換器様様だな。


 水筒の水でハンカチを濡らして、軽く絞る。


 ぶつかった衝撃でおでこが赤くなっているルナに渡す。

   

 

「悩みがあるなら、聞くぞルナ」


「むー、アーちゃんのいじわる。でも、ありがと」


 ハンカチでおでこを押さえると、赤くなっていたのが直ぐに元通りになった。


 壁の方は少し凹んでいるが様な……暗くてよくわからないな。


 多分気のせいだろう。うん、きっと気のせいだ。

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