第88話

「アレクスとルナの冒険譚? 」


「うん! 」


 自信満々に胸を張り、笑顔で答える。


 

「あー、ルナが書くんだろ? ”ルナとアレクスの冒険譚”、じゃダメなのか? 」


「なんか言いづらいから、いいの! 」


 いいのかなぁ、それで。



「……まぁ、ルナがいいならいいけど。……じゃなくて!              本なんて書けるのか? 」


「私が書こうと思ってるのはね、これからの冒険の事。二人で体験した事を書くの」


「体験した事を書くか……。それで冒険譚って事か」


「うん! 」


 冒険譚。


 確かにワクワクする響きではあるな。


 でもそうなると、気になる事がある。



「ちょっとさ、ルナの日記、見てもいいかな? 」


「へ? 」


「二人の日記を一つにするんだろ? それならさ、ルナの日記を読んでみたいな」


「ちょっ、ちょっと待っててね。いま、今持ってくるから! 」


「ああ」


「大丈夫だよね、変な事、書いてなかったよね」


 小声でブツブツ言いながら小屋に戻るルナ。


 しかし、本を書くか。


 俺は考えた事も無かったな。


 ルナは顔を真っ赤にして戻って来た。


 頭を下げて両手で「お願いします」と、日記を手渡してきた。



「ああ、ありがとう。どれどれ……」


 ルナの日記を読み始める。

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