第87話


「は? 本? なんで? それじゃあ冒険はどうすんだよ? それに本なんて書けんのか? 」


 なんで本を書くんだ? 


 その発想は一体どこから出てきた。


 冒険に一緒に行く約束はどうなる。


 そもそも本を書いてるところなんて見た事が無い。


 俺と一緒に、そこら辺を走り回るタイプだろ。


 そんな俺の心配そうな表情を見て、「ふふふ」と笑みを浮かべながら胸を張った。



「大丈夫、大丈夫! これがぁあ、ある! 」


 腕を伸ばして日記帳を俺の眼前に突きつける。



「? これはただの日記だろ」


「そう日記。でも普通の日記じゃない。言わばそう”冒険日記”。そして私も日記をずっと書いてるし、これからも書くつもりだった私とアーちゃんの日記。これを一つにまとめて、本にするの! タイトルは……」


 もったいぶってタメを作る。


 それにつられて俺も息を呑む。



「……タイトルは? 」


「アレクスとルナの冒険譚!! 」


 ルナは声高らかに宣言した。

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