第70話


「……うん、わかった。ルナの好きな様にしなさい。ただし、無茶はしない事。それと……」


「……それと? 」


「いつでも帰って来なさい。ここはお前の家で、父さんと母さんの子供で、弟と妹たちのお姉ちゃんで、私たちは家族なんだから」


「うん! 」


 さっきまでと空気が変わり、いつも通りの雰囲気に戻った。


 ルナは笑顔で、それを見る両親も笑っている。


 どうなる事かと思った。


 まさか「お金持ちにならなくていい」と、言われるとは思わなかった。


 でも、わかってもらえた様で安心した。

 


「ただいまー。おなか減ったよー」


「今日はね、うんとね……」「お父さん何飲んでんの? 僕も飲む」「姉ちゃん遊ぼー」


 いつの間にか夕飯の時間になっていたようだ。


 お腹を空かせた弟妹たちが元気に戻って来た。


 帰って来るなりバタバタと動きまわる。


 賑やかで時々騒がしい。


 うるさいと思う事もあるけど、いないとちょっぴり寂しい。

 

 そんな可愛い私の弟妹たち。



「おかえり。今日はなんか美味しい物でも作ろうかねぇ」


「本当! やったー」


 飛び跳ねて喜ぶ弟妹たち。



「それじゃあ、手伝いをしてもらうかね。ルナ、あんたも手伝っておくれ」


「うん! 」


 いつもと少し違ったが、やっぱりいつもと同じ。


 もう少しだけこのままで。


 私は笑顔で冒険の日までいようと心の中で誓った。

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