第61話
「どうかな? 変かな? 」
父親と一緒に農作業をしているアレクスを探しだして感想を聞いてみた。
髪の毛を切る事を言ってなかったので、ビックリした顔をしているアレクス。
そんな表情をしてるアレクスだったが、ルナは構わず見せつける様にクルっと回ってみせた。
そしてとどめに髪をサッと手で巻き上げる。
「どうかな? どうかな? 」
「うん、いいんじゃないか。ルナっぽい」
「私っぽいって……」
思っていた反応と違う。微妙な言い回しに困惑するルナ。
「長い髪も良かったけど、短いのも似合ってるよ。子供の頃って短かったよな。だからかな、ルナの髪って短い印象が強いんだよ、俺は。だからルナっぽいって思ったんだよ。うん」
手を櫛の代わりに使い髪の毛をすいているルナ。心配になって上目づかいになってしまう。
「……じゃあ似合ってるって事? 」
「そう言ってるだろ。短い髪、ショートカットって言うのか、とっても似合ってるよ」
「ありがとう、えへへ」
後ろで手を組んでうれしそうに帰って行くルナ。その後ろ姿を?顔で見送ったアレクスの隣に父親のアルバートが笑みを浮かべながら近寄ってきた。
「ルナちゃんうれしそうだったな。父ちゃんもあの髪型を見ると、お前たちが小さかった頃を思い出すよ」
「でも、何しに来たんだルナのやつ? 」
「お前にあの髪型を見せに来たんだろ」
「なんで? 」
「なんでって。……はぁ、女心はまだわからんか」
「? 女心って? 」
「男にはわからんものだ」
「じゃあ、父ちゃんにもわかんないじゃん」
「ははは、そうだな。でも、だから良いんだよ」
ますます訳が分からなくなるアレクス。アルバートはアレクスの頭をガシガシと撫でてから農作業に戻った。
(女心。ってことは多分男心もあるんだろうなぁ。ならその反対か? でも俺は男心なんてわからない……よな? )
頭をひねりながら自問自答を繰り返すアレクス。その姿を見ていたアルバートの顔は優しいものだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます