第57話

「型によって出来ない事とかはないんですか? 」


「ああ、別にないな。型とは言ってるが、どちらかと言えばその力を引き出すのに適している、って感じだ。そうだなぁ……ああ、それじゃこう言った方がわかりやすいかな。バランス型の引き出せる魔石の数値を全部100とする。これがパワー型ならパワー110他90。スピード型ならスピード110他90。みたいな感じだな。どうだ、わかったか? 」


「んー、まぁ、なんとなくは。……でも、そんな事学校では教えてもらってないですよ? ねぇ、アーちゃん」


「そうだよな。俺も知らなかったな」


「普通はこんな知識必要ないからな。型とは言ってるが普通に使うなら気にしなくていい。身体能力上がると言う点はどれも同じだからな」


「型の種類はわかりました。今のところ先生に貰ったバランス型のままで大丈夫ですよね? 」


「ああ、それで問題ないだろうな」


「型によって値段は変わるんですか? バランス型が安いとか、パワー型なら高いとか」


 俺たちには金の余裕があまりない。家の手伝いや村の簡単な仕事をしているが、そんなものはたかが知れている。


 装備、食料、変換器に使う魔石、その他にも細々した物に金がかかる。さらに変換器にも金がかかったら、冒険に出るのが遅くなってしまう。



「違いはあるが、そうだな、気にしなくいい程度だな。それに、今すぐに買い替えが必要になる事はないだろう。……余計な事に首を突っ込まなければな」


 ルナの方を見るガロッゾ先生。そのルナは俺の方を見てる。



「大丈夫です、ガロッゾ先生。アーちゃんの事は私がキチンと見張ってます」


 俺とガロッゾ先生はそんな、自信満々なルナを見て笑ってしまった。



「ガハハ。そうだな、ルナがいるから安心だな。さて、話しが長くなっちまったが変換器の値段はだな。ほれ……このくらいだな」


 二人に簡単な値段表を見せてくれた。前もって準備してくれていたのだろう。


 

「「……」」


 高い。それが二人の率直な感想だった。今ある二人の貯金を合わせてでも一つ買い替えが出来るかどうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る