第56話

「結論から言うと、出来る。実を言うとな、変換器は協会で買う事が出来るんだ」


「じゃあ、お金を貯めて買えばいいんですね? 」


 ルナがひょこっと顔を出した。どうやらガロッゾ先生の話しをちゃんと聞いていたようだ。



「焦るな、キチンと説明してやる。変換器を買う為に必要な物が二つある。一つは協会証明書。これは身分を証明するためだな。怪しいやつに売る事は出来ん。んで、もう一つが変換器本体だ。ああ、あと勿論金だな。……ん? これだと三つになるな。じゃ、必要な物は三つだ」


「え? 変換器を買うのに変換器が必要なんですか? 」


「ああそうだ。変換器が必要っていうか、交換するって言うのかな。あーなんだ、複数の変換器を付けちゃダメなのは知ってるだろ」


「複数個付けると体にかかる負担が大きくなる。だから一つしか付けちゃダメ。なんですよね。ちゃんと覚えていますよ」


「ああ、そうだ。それの簡単な対策だな。一つしかないなら、一つしか付けられないだろ。まぁ、違法に入手して付けるやつもいるが、そんなやつはどうなっても知らん」


 違法な手段で入手する方法。考えられるのは、金に困っている人から買う、脅して奪う、盗む、死体から盗る、そして……殺して奪い取る。少し考えただけでもこのぐらいは出てくるので、いくらでも方法はあるのだろう。


 ガロッゾ先生の説明を受けて、もう一度今の話しを確認する。

 

「変換器を買うの必要な物は。身分を証明する為の協会証明書。複数個付けるのを防止するために渡す自分の変換器。そして買うための金。この三つですね」


「そうだ」


「で、で。変換器って高いんですか? いくらぐらいするんですか? 」


 ルナがグイグイ聞いてくる。



「はぁ、ルナ。少しは落ち着って。ガロッゾ先生困っているだろ」


「えー、でもアーちゃんも気になるでしょ」


「そりゃ、まぁそうだけどさぁ……」


「いや、実際大事な事だからよく聞いとけな。ちと、細かい話しになるぞ。まず、俺たちのとお前らに渡したやつ以外にも何種類も変換器がある。バランス型。パワー型。スピード型。防御型。さらに細かくあるが、まぁこんなもんか」


「へー、色んな種類があるんですね」


「じゃあ、じゃあ、私たちの変換器は何型なんですか? 」


「お前らのやつはバランス型だな。協会が配っている変換器は全部同じだな」


 バランス型の変換器。名前の通りだったら、何かに特化しているわけではないが、まんべんなくこなせるのだろう。そう考えるとアレクス達の目的、冒険をして各地を回るならバランス型が適してるのだろう。

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