第55話


「変換器に入れる魔石は、大きければ大きいほど力を引き出せる。だが……」


「変換器が大きくないと、大きい魔石が入れられない。と」


「そう言うこった。まぁ当然の事だがな」


「でも、俺たちが普段使っている小さな魔石でも、魔物とは戦えるんですよね? 」


「それについては、大丈夫だ。魔物の種類にもよるし、戦い方にもよるがな。だが魔物退治を積極的にやるって言うと厳しいな」


 魔物の種類は未だによく分かっていない。動物と同じような姿をしている事から、動物と同じ種類だけいてもおかしくはない。

授業で教えてもらった事だが、犬型の魔物だったら犬と似たような習性を持っているらしい。


 集団を好む魔物、単独行動を好む魔物。鳥型は飛ぶ事も出来る。



「魔物と戦うなら遠距離が基本。と教えたな」


 初めての冒険から今日まで色んな状況での戦闘方法を教わってきた。わざわざ相手の距離で戦う必要は無い。その教えに従って、俺とルナは基本的に遠くから攻撃する事が出来る弓を練習してきた。勿論、近距離でも戦えるようにな訓練もしている。



「魔物との距離が近いほど怪我をする確率が高くなる。そりゃそうだよな、相手だって必死になんだからな。そういう時に変換器の力が物を言う。魔物をねじ伏せるための力、もしケガをしてしまった時の回復力。これら変換器の力がデカいほどいいからな」


「……小さい魔石をいっぱい準備して戦うのは、ダメなんですか? 途中で交換しながら戦うんです」


「悪くはない。でも、良くもない。何度も言うが魔物は種類によって行動が変わる。集団で襲ってくるやつもいるし、飛んでるのもいる。隠れて急に襲ってくるやつなんかもいる。確実に一対一、またはこちらの人数が多いという状況なら、交換しながら戦えるかも可能性はあるかもな。でも相手が複数だったらそんな暇はないと思った方がいいだろうな」


「……そうですか」


「あとそうだな、単純に力負けしたらかなり厳しくなっちまう」


 別に魔物と戦う冒険じゃない。


 しかし、それはこっちの都合であって相手には関係ない。


 たまたま目に入ったから。たまたま縄張りに入ったから。たまたま機嫌が悪かったから。


 襲ってくる理由はいくらでも考えられる。


 そうなると、ある考えが頭をよぎる。



「……大きい変換器、例えばガロッゾ先生の変換器は俺たちは持つ事は出来ないんですか? 」

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