第54話
「リリアンの授業で習った事を覚えているか? 変換器には種類があるってやつなんだが」
「覚えていますよ。用途によって変わるんですよね? 」
「そうだ。それじゃあ、俺たちの変換器の用途ってやつは何だと思う? 」
村で使う変換器は基本、農業等の力仕事で使っている。変換器が普及するまではとにかく人手が欲しく、怪我人も多く出ていた。
変換器のおかげ人手は少なくてすみ、怪我人も出なくった。その結果開拓や農業の効率が格段に上がったらしい。
しかしガロッゾ先生の口ぶりから察するに、村での使い方とは違うのだろう。そうなると……
「……戦闘用。つまりは、魔物と戦うための変換器って事ですか? 」
「そうだ。俺たち協会の人間は、魔物や魔人と戦う事を前提に動いている。まぁ、魔物がいないこの村では想像しにくいだろうが、魔物がそこらじゅうにいるのは常識なんだ」
「先生たちが魔物と戦う事があるのは、もちろん知っています。でも、こんな話をするって事は俺たちの変換器じゃ魔物と戦えない、って事ですか? 」
「いや、そうじゃない、そうじゃないんだ。心配させたか、悪い悪い」
頭をボリボリ掻きながら謝罪するガロッゾ先生。
「その話しの前に、もう一つ見てもらう物がある」
そう言って取り出したのが、魔石だった。
大きいて綺麗だ。
俺たちが使う魔石より一回り以上大きく、透明度がかなり高い。形は俺たちの物と同じだ。
「この魔石は俺たちの変換器に使うやつだ。ほれ、見てみるか」
ガロッゾ先生はルナに魔石を手渡す。
今まで見た事の無い綺麗な魔石に興奮するルナ。普段使っている魔石とは透明度が全然違く、向こう側が見える。
嬉しそうに自分の右目の前に魔石を持ち上げる。そして左目をつぶって魔石越しに俺を見る。
「アーちゃん、アーちゃん! こっち見て! 」
透明度が高いのでルナから俺の顔が良く見える様だ。
俺からもルナの薄い青色の綺麗な瞳が見える。
「重要なのは大きさなんだが……」
話しを聞いているか怪しいルナは、魔石越しの風景を楽しんでいる。空を見たり、村の方を見たりしている。
そんなルナを放っておいて話しを続ける。
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