第53話


 質問の意味をよく考える。


 確かに村の外は魔物が溢れている。自分たちの身が危険にさらされる事もあるのだろう。


 でも、自分たちから好んで魔物と関わろうとは思っていない。



「んー、俺たちから積極的に戦うって事はしないと思いますよ」


「そうですよ。危ない事には関わらないのが一番です! 」


 腰に手を当て胸を張りながら、真っすぐに目を見て主張するルナ。



「でも、割のいい仕事だったら? 」


「……」


 腰に手を当てたままで顔を横に向け、目を逸らすルナ。



「おいルナ、そこで黙っちゃダメだろ。ガロッゾ先生、俺たちの冒険の目的は色んな場所に行って、色んな物を見る事です。魔物を退治する事ではありません」


「本当だな? 」


「ルナがさっき言っていた通りです。危ない事には、出来る限り関わらない様にしようと思っています」


「……そうか」


 ガロッゾ先生は腕を組んでまま固まる。アゴヒゲを手でいじり、何か考えている様だ。


 俺とルナは互いに顔を見合わせ、ガロッゾ先生の言葉を待った。



「俺たちの、あー、つまりは協会の変換器を見た事はあるか? 」


「へ? 」


 口を開いたと思ったら、予想外の質問をしてきた。


 ガロッゾ先生たちの変換器。ルナの顔を見るが横に首を振る。アレクスも言われてみれば無い。授業で使う変換器は村にあるやつだ。



「……無い、ですね。でも、それが何か関係あるんですか? 」


「無い、か。……それじゃ、今見せてやるよ」


 自分の腰から変換器を外して俺たちに見せてくれた。見れば直ぐに違いがわかった。単純に大きいのだ。

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