第52話


「おお、お前ら」


 ガロッゾ先生に声を掛けられたのは証明書を貰った数日後だった。



「どうしました、ガロッゾ先生? 」


「やっとこれの許可が取れてな、ほれ」


 ガロッゾ先生が取り出したのは変換器だった。



「けっこう大変だったんだぞ。普通は村全体での所有になるからな。前にも言ったが、個人で持ってるのはあんまりいないからな」


「ありがとうございます。これで村長に予備の物を借りなくてすみます」


「わー、ありがとうございます。借りる度に何かお土産持って行ったもんね、これでお金も浮くから良かったね。……でも村長さんガッカリしちゃうかな。もうお土産無いから」


 ルナの話を聞き流し、ガロッゾ先生から変換器を貰う。いつも使っている変換器と同じだ。片手で持てるほどの大きさで、同じ大きさの石よりは軽い。向こう側が見えるぐらい透き通っている。細かい傷も無く新品に見える。



「これって新品なんですか? 普通は協会の古くなったやつを配ってるんですよね? 」 


「ああ、こいつは新品だな。普通は俺たちの使わなくなったやつを配っている。ああ、別に古いからってどうこう、ってのはないんだがな」


 新品の変換器。自分専用。そう考えるとニヤニヤしてしまうのが男の子である。


 ニヤケ顔をアレクスを横目にルナは「綺麗だな~」と言い、変換器をクルクル回してキラキラさせている。


 

「……少し聞きたい事があるんだが、いいか? 」


「なんですか? 」


「お前たちは魔物と戦う事を考えているのか? 」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る