第44話


「そうですね。でもかなりの危険が伴います。手配されている時点で普通の動物・魔物ではないのですから」


「手配されてないとダメなんですか? 」


「野生のやつを倒しても協会からお金は出ません。誰かから依頼されて、それを協会で調べて手配されて、それを倒して初めてお金が発生します。でも素材や魔石を買い取る事はしてますよ」


「そうですか」


 アレクスの質問にも丁寧に答えてくれて話を続ける。



「次に役所でのお仕事ですが、簡単に言うとその土地でのお仕事ですね。荷物運び、建設のお手伝い、野菜の収穫、店番、変わったものでは赤ちゃんの面倒を見たり食事を作ってくれ、なんてのもあります。基本的に短い時間でやるお仕事が多いですね。報酬は高いのから安いのまで様々です。村では村長さんがやってると思うんですけど、見た事ないですか? 」


「んー。見た事ないですよ。本当に村長がそんな事やってるんですか? 」


「……まぁ、この村はあんまり大きくないですから、皆さん知り合いみたいなものでしょう? 困った事があったら知り合い同士で手伝いを頼んじゃうんでしょうね。本当は掲示板があってそこに色んな仕事の依頼が張ってあるんですよ。でも町では個人から仕事を取っては絶対にいけません! 簡単に儲かる、直ぐにお金持ちになる、なんて甘い言葉で誘ってきますが、そんな事は絶対に無いです。そんな簡単にお金持ちになれるんでしたら、私はすごくお金持ちになってますよ。違法な事をして捕まったり、最悪命を失う何て事もありえます」


 リリアン先生の授業は続き、仕事をやる際の注意点、協会では金の管理をしてくれて、預けた場所と別の場所でも引き出す事が出来る事。これから大人になっていく子供たちに金の管理、仕事のやり方を教えてくれた。


 授業も終わり家に帰ろうとしたアレクスとルナはリリアン先生に止められた。



「お二人共、ちょっといいですか? 」


「はい? 何か用ですか? 」


「ええ、ちょっとね。こちらに来てもらえますか」


 言われるがままにリリアン先生の後ろに付いて行く。


 着いた場所は別の教室で今日は誰もいないはずだ。しかし扉を開けると先生たち全員揃っていた。なんだか起こられるような気がして緊張する二人。



「おお、来たか。なんだぁ、緊張してんのか? ガハハ! 別に説教しようってんじゃねぇよ、安心しろ」


「本当ですか? 呼び出されるなんて今まで無かったですよ」


「そんな緊張しないで下さい。少し、お話をしたいなぁって思ったんですよ」


 リリアン先生は椅子に座るとアレクスとルナにも座るように促した。


 二人が座ると四対二の形になり、ますます緊張した。

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