第42話
「うんうん、良く書けていますね。アレクス君は実際の事を、ルナちゃんはその時の心情を中心に書いていますね。お二人の個性が出ていて、とても良かったです」
「ああ、ああ。うまいもんだ。特に飯の場面が美味そうに書けてるな」
「本当に美味しかったから、そのまま書いただけですよ」
「で、何か問題点はあったのか? 」
今回の練習で気になった事。初めての冒険だったので準備はしっかりして行った。しっかりし過ぎた。変換器があるので荷物はずっしりするほど用意した。
「やっぱり荷物の量ですかね。特に食料。この加減がわからないです」
「ああ、荷物はな。何が必要か不必要か。こればっかりは回数をこなすしかないな」
「そうですね。私も協会に入ったばかりの時は、あれもこれもって、いっぱい持ち歩いたもんです」
「ガハハ、そんな事もあったな。懐かしいな、俺も歳を取ったもんだ」
先生たちは昔話に花が咲いたようで盛り上がっている。アレクスとルナは困った顔をして固まっている。
二人を置いてきぼりの昔話はしばらく続いた。初めての授業はどうだこうだ。魔物を倒した時はあーだこーだ。
「おっと、悪い悪い。勝手に盛り上がっちまったな。俺も協会のジジイのつまらない話しによく付き合わせれてな……」
「ガロッゾ先生。話が戻っています。お二人が困っていますよ」
「ん? ガハハ。ダメだな、俺も」
話がループしそうな所リリアン先生が止めてくれた。
「イリアム先生とエイトリン先生にも読ませてあげたいので、お借りしてもよろしいでしょうか? 帰る時にお返ししますので」
「ええ、いいですよ」
もうすぐ授業の時間になる事もありアレクスとルナは教室に向かう。
教室に向かう途中に先の会話を思い出す。
「やっぱり回数をこなすしかないか」
「そうだね。少しづつやって慣れていくしかないね」
「父ちゃんの言ってた事は正しかったんだな。練習しろって」
「ねぇ~」
教室に入るとみんなが寄って来て冒険の話を聞きたがった。村の外に出た事がある子供たちは多くない。アレクスとルナは顔を見合わせてから見てきた事を話だす。アレクスは得意げに話し、ルナは照れながら話をした。
あっという間に時間が過ぎ。授業の時間になりリリアン先生が教室に入って来た。
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