第39話
「はーい、どなたですか? 」
「おばさん、俺ですアレクスです」
「まぁ、アレクス」
おばさんの声が聞こえて、バタバタと足音が近づいてくる。
「お帰りなさいルナ、アレクス君。……あらまぁ」
ドアを開けたおばさんは目を丸くした。ルナとアレクスが手を繋いでいるのが目に入ったのだ。
「おばさん、ただいま帰りました」
「……ただいま」
「はい、お帰りなさい。しかしまぁ、すっかり仲良くなったもんだね」
ルナはしょんぼりしたまま顔を上げておばさんの方を見る。
何を言ってるのか理解出来なかったがおばさんが繋いでいる手を指さすと、みるみるうちに真っ赤だった顔がさらに赤くなった。
「え、え?ちが、違うよお母さん! いや、やっぱり違わないよ! 待って、やっぱり違うのが違う! 」
もはや何を言ってるのか理解不能な事を口走るルナ。アレクスから手を離して「あわわ」言いながら言い訳を連発する。それを笑いながら優しく見守るおばさん。
そのまま勢いよく家の中に入ってしまった。家の中から「お姉ちゃんお帰りなさい」「お土産はー」「お顔真っ赤だよー」と姉弟たちの元気な声が聞こえてくる。
再度ドアが開きおじさんが出てきた。
「やぁお帰り。怪我はしてないみたいで良かったよ。あと、ありがとうね、アレクス君。ルナと仲良くしてもらって」
「ただいま、おじさん。俺もルナと一緒だと楽しいです」
「それは良かった。これからもよろしく頼むよ。」
「はい。もちろんです。では俺はこれで、明日もう一度顔を出します」
「ああ。ご家族に顔を見せて安心させてあげなさい。今日はゆっくり休むといい」
ルナの家族に挨拶を済ませてから隣にある自分の家に帰る。自然と早足になり直ぐに着いた。そのままの勢いでドアを勢い良く開けた。
「ただいま。父ちゃん、母ちゃん」
勢い良く開いたドアにビックリした家族たちだったが、アレクスの顔を見るや否や駆け寄って抱きしめた。
「お帰りなさい、アレクス。怪我はしてないか? 腹は減ってないか? 」
「大丈夫だよ。怪我はしてないよ。でも久しぶりに母ちゃんのご飯が食べたいな」
「そうかそうか。それじゃぁ直ぐにご飯にしようかね」
「兄ちゃんお帰りー」
「ああ、ただいま」
アレクスは兄弟たちの頭を撫で、久しぶりに母親の暖かい食事を取りながら冒険での出来事を楽しそうに語った。
翌日ルナは憂鬱だった。昨日入口付近に居たおばちゃんたちは噂好きで知られている人たちだったからである。
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