第37話

「んじゃ、これは俺が料理するよ」


「えー、アーちゃん捌いたり出来るの? 」


「父ちゃんと何度か釣りに行った時があるんだ。そん時に教えてもらった」


「うーん、じゃあお願いするね。私は簡単なスープでも作ってるよ」


「おう、任せろ! 」


 自信満々と胸を張るアレクスと心配そうな顔をするルナ。対照的な表情の二人はそれぞれ料理を開始した。


 アレクスは魚の頭をナイフの背で強く叩いた。頭を叩かれた魚は気絶する、その隙に捌いていく。


 まず最初に塩でぬめりを取る。両手に塩をつけ魚をこするように洗い、ぬめりが取れたら綺麗な水でよく洗い流す。 


 次に内臓を取るため腹を割く。お腹に肛門の穴があるので、そこからナイフを入れエラの部分まで割いて内臓を取り出す。そして背骨にある血合いをナイフで擦り綺麗にする。


 次にエラを取るためノドを切り、親指と人差し指でつまんで引っ張る。

最後に綺麗な水でしっかり洗い水気を取るため布巾拭く。これで下処理は終わり。


 焼くために口から串を刺す。この時くねらせながらよう背骨に刺すと、うまく通す事が出来る。あとは魚の上から塩を少し多めに振る。あとは良く焼けば食べる事が出来る。



「うしっ、出来た」


「へぇー、結構手際がいいね。料理ダメなんじゃなかったの? 」


「へへへ、なんかこれは得意なんだよね。あとは焼けばいいだけだし」


 薪ストーブの扉を開け、薪に当たらないように上にグリルを乗せて魚を並べる。あとは様子を見ながら丁寧にひっくり返せば出来上がり。



「よし。いい感じに焼けたな」


「アーちゃん、こっちも出来たよ」


「それじゃ、食べますか」


 アレクスが作った魚の塩焼き、ルナの作った玉葱とキャベツの野菜スープ。今日のご飯が出来上がった。



「「いただきます」」


 二人は手を合わせてから食べ始めた。


 ルナはアレクスが焼いた魚の塩やきを一口。



「っん。美味しい。皮がパリッとしていて、油がじゅわーって出てくる。……うん、美味しい」


「だろ、だろ。んじゃ俺も。……うん美味い」


 丁寧に焼いた魚の皮はパリッと食感が良く、身はホロホロしている。噛む度にでる魚の油は塩との相性が抜群で食べる手が止まらない。


 ルナも同じみたいであっという間に一尾食べてしまった。



「ふぅ、美味しかった。この魚はなんて名前なの? 」


 野菜スープを飲んでいるアレクスにルナが聞いてきた。



「ん? さぁ? 」


「え? なんの魚かわからないの? 」


「まぁいいじゃん。美味いんだから」


 呆れた顔をするルナを横に笑いながら二尾目の魚を食べ始めるアレクス。


 なんの魚かわからない。その事実に驚愕するルナはしばらく魚を見つめる。



(でも美味しいからいいか)


 ルナは現金だった。

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