第36話

 英気をたっぷり養った二人は、アンリおばさんとその家族に別れの挨拶をし朝日出る頃には出発した。



「お世話になりました」


「いいのよ、気にしないでね。またおいでルナちゃん」


「それじゃ行くよ、アンリおばさん。ご飯美味しかったです」


「次来た時も美味しいの作ってあげるからね。じゃこの手紙をアルバート兄さんに持って行ってね」


「わかりました」


 アンリおばさんから手紙を受け取りその場を後にするアレクスとルナ。


 朝早くの出発だったが俺たちの家族と同じように見えなくなるまで手を振って見送りをしてくれた。



「いい人たちだったね、アーちゃん」


「そうだな。応援もしてくれたし、頑張らなくっちゃな」


 アンリおばさんに感謝の気持ちを口々にしながらオムタ村を出発した。


 帰りの道順調もに進んだ。暗くなる前には休憩小屋に到着した。



「ふぅー、何とか暗くなる前に着いたな」


「そうだね。なんだか帰りは早く感じるよ」


 小屋に着いた二人は来た時と同じくランプをに火を点け、部屋を温めるために薪ストーブにも火を入れた。



「それじゃ、ご飯の準備をするね」


「ちょっと待った! 」


 夕飯の準備を始めようと荷物の中から食材を出そうとしていたルナを俺がストップをかけた。



「ん? どうしたのアーちゃん? 」


「ほらあれ、魚。昨日網仕掛けたじゃん」


「あー、そうだったね。捕れてるかな? 」


「行ってみよう」


 小屋の裏にある仕掛けを二人で見に行く。網の中には何匹かの魚の影が元気よく動いていた。冷たい水に手を突っ込んで仕掛け網を回収する。すると……。



「おっ! 入ってる、入ってるぞルナ! 」


「ほんとだー。結構適当にやっても捕れるもんだね」


 網の中には手より少し大きな魚が四匹入っていた。

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