第35話

 アレクスは父親アルバートからの手紙をアンリおばさんに渡す。



「はいこれ。お父さんから手紙だって」


「はいはい。前に届いた手紙に書いてあったやつだね」


 アンリおばさんに手紙を渡すと静かに目を通している。


 手紙や荷物を届ける方法は大きく分けて二つの方法がある。金のかかる方法とかからない方法だ


 金のかかる方法は行商人に頼む方法と、手紙や荷物を専門に運ぶ仕事の人に頼むかだ。

行商人に頼むと行商のついでに運んでくれる。しかしあくまでついでなので日にちがかかるし、遠ければ遠いほど料金が高くなってしまう。さらに場所を取る荷物だったら料金が高くなってしまう。

専門職に頼む場合は高くなるが早く届く。魔物や魔人が蔓延るこの世界では荷物を運ぶだけで命がけなのである。


 金のかからない方法も二つある。協会に頼む方法と自分や家族が持っていく方法である。

協会は各地を巡回する際に手紙や小さい荷物なら無料で運んでくれる。しかし巡回には日にちが、かかるのではっきり言っていつ届くか分からない。でも遠い場所でも無料である。


 自分や家族が持って行く方法は金がかからないし真っすぐ向かえば直ぐに着くだろう。しかし場所によって魔物等がいるため危険を伴うし、行き帰りの路銀がもちろんかかる。よっぽどではないかぎり自分たちで運ぶ事はないだろう。


 アルバートがアンリに前もって手紙を出していたが、時間があったので協会に頼んでいた。

 

 手紙を読み終わったアンリおばさんは俺の方を向き、真剣な顔で質問してきた。



「ふぅー、前に貰った手紙にも書いてあったが本気なのかい冒険したいって? 」


「うん、本気だよ。俺は自分の足で色んな場所に行って、自分の目で色んな物を見るんだ! 」


「……そうかい。ルナちゃんも一緒に行くって? 」


「はい、おば様。アーちゃんと一緒に行きますけど、私は私の目的があって行きます」


「そうかい」


 その後、しばらく考える様に黙っていたが観念したのか「ふぅー」と溜息をついた。



「……わかった。あんたらはあんたらなりに考えた結果だろう。私は応援してあげるよ。若いんだ、やりたいようにやりたい事やりな! 」


「うん、ありがとう! アンリおばさん」


「それじゃ、晩御飯にしようか」


 恰幅も気前もいいアンリおばさんは二人のためにいっぱいのごちそうを作ってくれた。


 その後日記を書いてからお風呂にゆっくりと浸かり暖かいベットでぐっすり眠った。

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