第23話
「はぁ……これも美味しいな」
「それは良かった」
「よく作れるな。俺も料理をやってみたんだけど、なんかうまく作れなくてな」
「ちゃんとレシピ通り作ればいいんだよ。簡単じゃない」
「ちゃんと作ったよ。弱火で十分は、強火で三分だろ? 」
「それレシピと違うよね? 」
「一緒だろ? 」
溜息をつきながらルナもスープを飲んでみた。ほっとする優しい味がする。
次にパンを浸してから食べてみる。パンにスープが染みて美味しい。
料理のレシピは医療協会のエイトリン先生に教えてもらった。医療の一環として栄養バランスが良い食事の献立を各村に広めている。
またソースやマヨネーズ、コンソメといった調味料の作り方も発明者から協会が買取り、みんなが使えるようにレシピを教えてくれたり、協会で生産・販売して商人に卸している。
各地域での取れる野菜や香辛料での違いは出るが、同じような調味料がある。
アレクスはあっという間に食べ終わった。ルナはゆっくり味わうように食べている。
鍋を見るとまだスープが残っている。
「ふぅ、お腹いっぱいだ。ごちそうさまでした。……なぁ、ちょっと多く作りすぎじゃないか? 」
「はい、お粗末様でした。明日の朝の分も一緒に作ったから」
「ああ、なるほど」
食事が終わると二人で食器を洗い片づける。スープに使った皿やスプーンをお湯で濯ぎ、調理に使った道具も綺麗に洗う。
次に一日中歩き汗をかいたので寝る前に体を拭く事にした。
”体を清潔にする事で病気の予防になるし、精神的にも良い”とエイトリン先生が教えてくれたので、出来るだけ綺麗に保つつもりだ。
暑い時期なら川で水浴びでもすればいいが春先の夜の川では凍えてしまう。
夕飯に使ったやつとは別の鍋に川の水を汲みお湯を沸かし、タオルを入れよく絞る。
「それじゃ、終わったら呼んで」
「うん、ありがとう」
「気にすんなって」
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