第22話
「はぁ~あったかいなぁ。外はもう寒くて寒くて」
「ご苦労様。外は真っ暗になっちゃったね」
小屋に入る前はまだ薄暗かったが、今ではすっかり真っ暗になってしまった。
ほっこりと暖まる二人。そのまましばらく薪ストーブの前から動けなくなってしまた。
薪の燃える音だけが小屋の中に響く。
「……はっ! ヤバい、このまま寝ちまいそうだ。ちゃんとご飯たべてから寝ないとダメだよな」
「休むならしっかり食べて、ちゃんとしたとこでしっかり寝る。だね」
二人は後ろ髪を引かれる思いで暖炉の前から離れる。
着たままだった防寒着のマントを玄関にあったコートハンガーに掛けて、夕食の準備を始める。
「今回は何を作るんだ? 」
昼のルナバーガーが美味しかったので、楽しみで仕方ないと言う顔をしながらルナに聞いてきた。
「そうだなぁ、寒いからスープとパンでどうかな? 」
「いいね、美味しそうだ。それじゃテーブルを拭いておくよ」
アレクスはテーブルを拭きと皿を用意して、ルナが調理の準備を始めた。薪ストーブを使って料理をする。
干し肉を一口大の大きさに切って、油を引いた鍋に入れよく焼く。玉葱は角切りにして、干し肉が入っている鍋に入れて火が通るまで炒める。
玉葱に火が通ったら、トマトも角切りにして入れる。その後一度沸騰させた川の水を入れて、コンソメ顆粒を入れたらしばらく煮込む。
「うーん。ちょっと物足りないな」
味見をして、塩コショウを入れ味を整えたら出来上がり。干し肉のコンソメトマトスープが完成した。
パンを用意してトマトスープを皿に移しテーブルの上に持って行く。テーブルに向かい合って座る。
「それじゃ、いただきます」
「どうぞ召し上がれ」
二人は手を合わせてから食べ始めた。
アレクスはスープを一口飲んでみた。「ふぅ……」冷えた体に暖かいスープが沁みる。
干し肉の塩味、玉葱とトマトの旨みとコクがコンソメの味わいを際立てている。
次にスープの中の干し肉をパクリ。しっかりとした噛み応えがあり、噛むたびにぎゅっと濃縮された肉の味が口に広がる。すかさずパンにかぶりつく。
うまい。これだけでも十分な美味しさだが、玉葱とトマトを入れたコンソメスープがさらにうま味を引き上げている。
まぁ、とにかく美味しい。
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