第7話
アレクスと別れたルナは上機嫌で家に帰った。
「ただいま~」
「お姉ちゃんおかえり~」
「お帰り。なんだかうれしそうだね。ルナ」
「うん。ちょっとね」
家に帰るとお父さんが兄弟たちの面倒をみていた。ルナは五人姉弟の長女で、下に妹と弟が二人ずついる。
裕福ではないが幸せな毎日を送っている。
どうやらニヤニヤしているようで顔が緩んでいたようだ。
確かに自分でもなんでこんなに機嫌が良いのか不思議な気がするが、自然と笑みがこぼれてしまう。
「今日はどうだった? なにを勉強してきたんだい? 」
ニコニコしていたルナは少し浮かれすぎだなと思い、「ん、ん~」と咳払いをしてから。
「今日はリリアン先生から魔物の歴史、魔石について習ったよ。あと変換器、お父さんも使ってるよね? 」
「変換器か、確かに便利だな。あれのおかげで、ずいぶん楽になったよ」
奥の部屋にある変換器を持って来た。
「これだな。もう随分前から使っているよ」
持ってきた変換器を見せながら説明してくれた。ベルトに容器がくっついている変な道具。これでなぜ力が出るのだろう。
ルナは疑問に思いながら手に取って、まじまじと眺めてみる。
「なんでこれで力が出るの? 」
「確か元々の魔物の力を引き出す、らしい。詳しくはわからないんだ」
「わかんなくていいの?壊れたりしないの? 」
「協会から貰った時に説明されたんだけど、お父さんには難しくてね。使い方を間違えなければ大丈夫だよ。壊れたこともないし」
長年使っているらしいがとても綺麗だ。
「あと、これが魔石だね」
親指ぐらいの大きさの石も見せてくれた。ルナは綺麗な物を期待したらしく、キラキラした目で見てきた。
けれども、すぐにガッカリした表情になってしまった。見せてくれた魔石はくすんでいて、とても綺麗とは言い難い。材質は滑らかと言うかスベスベしていて凄く硬い。
「なんか汚い。もっと綺麗なのないの? 」
「ははは。確かに汚いな。でも、これで畑仕事には十分なんだよ。綺麗なやつは高いしな」
「ふーん」とルナは手の上で魔石を転がしている。そんな事をしているとお母さんが帰ってきた。
「あら、今日は早かったのね。アレクス君と遊びに行かなかったの? 」
ルナはアレクスという言葉に反応して真っ赤になる。自分でもなぜだかわからないが顔が熱い。
「今日は遊ばなかったの。私だって忙しい時だってあるの!」
なぜか、むきになって反論してしまった。
「はいはい」とお母さんは笑いながら台所に行って、食事の準備を始めた。
お父さんも笑いながら変換器と魔石を片付けに行ってしまった。
ルナはテーブルに顔を伏せ足をバタバタさせている。それに飽きるとお母さんの手伝いをする為台所に向かった。妹たちは先に手伝いをしていて、お皿を並べていた。
「お母さん手伝うよ」
「おや、ありがとう。ルナ。……ふふふ、大丈夫男の子なんておいしいご飯を出せばいちころなんだから! 」
「知らない知らない! 」
「お姉ちゃん顔真っ赤だよ」
「もう、知らない知らない! 」
そんな他愛もない話をしながら夜は更けていった。
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