第7話 山岳地帯
万能薬の材料となる薬草を探しに、険しい山道を登る。
一応ロープやら登山靴などを装備しているが、山は甘く見ない方がいいだろう。
きっとなめてかかったら、すぐに危険にされされてしまう。
アリオと、アリオのパートナーであるライオンと一緒に。
気を付けながら山道を歩いていく。
けれど途中からどんどん道が険しくなって、
ほぼ垂直みたいな壁をのぼらなくてはいけなってしまった。
崖にしがみついている最中は、生きた心地がしない。
落っこちた時の想像が頭によぎっては、慌てて振り払わなければならなかった。
けれど、竜の為だと言い聞かせながら、ふんばる。
できるだけ下を見ないようにして上に登っていく。
そうしていると現実世界の事を思い出してしまう。
前世の父親がかなりアウトドア派の人だったから、休みの旅に色々な所に連れていかれたのだ。
森の中や、川、海辺、山の中など。
大抵は楽しい思い出ばかりだったけれど、たまに海に落ちたり、イノシシに追いかけられたりしたのがトラウマだった。
だから動物は好きだが、イノシシだけはいまだに苦手だ。
そんな事を考えていると、アリオが大声を発した。
「あっ、見てよお嬢! ふわふわ鳥がとんでるよ!」
アリオの声につられて上空をみると、綿毛のようなふわっとした鳥が飛翔していた。
ふわふわ鳥は、朝の時間になったら飛びまわる習性のある、この世界の生き物だ。
可愛い見た目に反して、険しい崖に巣をつくって生活しているが、それゆえ風を捕まえて飛びやすい体に進化したのだという。
ふわふわ飛んでいる、ふわふわ鳥があまりにも可愛らしくてつい気を抜いてしまった。
「きゃっ!」
落下しかけた。
死んだかも。
と、思ったが、ちゃんと生きているようだ。
ライオンが私の服を噛んで、引っ張り上げてくれる。
「おっと、あぶないよ。気を付けないと」
「がるるっ!」
アリオのパートナーであるライオンが受け止めてくれなかったら、大変な事になっていた。
断崖絶壁を見下ろしながら、ライオンに襟首を掴まれてぶら下げられる少女。
とても絵にはできない光景だ。
乙女ゲームの世界なのに、今目にしている光景にはキラキラした絵がまるでない。
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