第8話 悪質な密猟者




 万能薬。


 あったら良いけれど、


 実際に生えているかどうか分からなかった。


 おそらくあったら、そうとうの幸運だ。


 普通なら、

 無駄骨に終わる確率の方が高かっただろう。


 けれど、私達は運が良かったらしい。

 頂上に辿り着くと、すぐに万能薬の薬草が手に入った。


 アリオと手分けをして、必要な量を積んでいく。


「やったね、お嬢。これだけあればきっと竜をなおせるよ」

「だとしたらいいわね。早く元気になってほしいわ」


「がるるる!」

「どうしたの?」


 でもそこで、運を使い果たしてしまったらしい。


 ライオンがうなって警戒を促した。


 見ている方向へ視線を向けるとそこに人影が。


 男性の三人組だ。


 しっかりとした装備で、薬草を入れる籠を持っているが、薬師などではないだろう。


 武器を手にしているから、狩猟者か、もしくは。


「竜狩りが失敗したから、金になる万能薬の薬草を手に入れようと思ったら。とんだ邪魔が入ったな」


 密猟者だったようだ。


 おそらく彼らが竜を狩ろうとしたのだろう。


 しかし逃げられたから、ダメ元で万能薬の薬草を探しに来たのだ。


「俺の名前はマギ―。血濡れのまぎーだ。その薬草をおいていけよ。ちびっこちゃん」

「俺の名前場バギー。あれくれ者のバギーだ。へたに逆らうと痛い目を見るぜ、ガキども」

「そして俺様の名前はラギー。こいつらを統率する頭だ。血縁はないが偶然名前が似ているってもんで、つるんでるのさ。さあ、この武器が見えないわけじゃないだろ。とっとと去りな!」


 なぜか丁寧に自己紹介をしてくれた彼らは、斧やら弓やら剣やらをかかげてくる。


 けれど私達だって引くわけにはいかないのだ。


「万能薬は渡せないわ。負けるわけにはいかない!」


「アリオ、お願い」「えっ、俺?」


 しかし私に力はないので、友人に任せる事しかできないのが辛い所だ。


 急に話題を振られたアリオは一瞬狼狽する。


 けれど、彼等に対する気持ちは私と同じだったらしい。


 すぐにライオンに指示を出した。


「仕方ないなぁ、あいつらやっつけて」



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