お盆の手引き

 お盆は祖霊を出迎える大切な期間です。

 代々島と家を守ってきた先祖に想いを馳せ、清い気持ちで過ごしましょう。


 しかし、地獄の釜の蓋が開くこの期間、祖霊以外のものも島を訪れることがあります。

 大切な故人と共に良くないものが紛れ込まないよう細心の注意を払いましょう。



 送り盆の期間中は、盆提灯や精霊馬と一緒に、灰を貯めたお盆を家の前に置くのが釣内島の習慣です。

 お盆の呼び名の由来もここに起因します。


 灰はお線香を燃やしたときに出るものを一年間貯めてください。しかし、年内でご家族の中に海で亡くなった方がいる場合は薪を燃やした灰にしてください。


 灰の盆には籠をかぶせ、毎朝開けて、足跡がついていないか確認してください。

 鳥や猫の足跡なら構いません。


 もし、魚の尾を引き摺ったような跡がある場合や、海水で湿っている場合は、その灰を海に捨ててください。

 その際、「おみおは死んだ。お澪は真砂まさご。真砂は海の底」と三回唱えてから捨ててください。


 それでも、翌朝同じことが続く場合はお寺に相談してください。


 また、お盆の間は決して海には近づかないでください。

 歌声が聞こえたら、「真砂は砂、骨は砕けた砂になる、肉は潮水に溶けただけ」と唱えながらすぐお寺に逃げ込んでください。



 釣内つりうち統治とうじ

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