御参りの手引き

 釣内つりうち島には人魚伝説があります。

 美尾みお寺は日本有数の人魚の木乃伊を祀る珍しいお寺です。

 奉納されている人魚は上体のみですが、人間には存在しないエラやヒレが生えていることから、本物だとわかるでしょう。


 釣内島の人魚伝説は以下のものです。


 昔、島におみおという娘がいました。

 お澪は病気の母に精をつけさせたいと、網元の許可を取らず、嵐の夜に隠れて夜釣りに行きました。

 そこで沖に流され、岩場に縋ったまま戻れなくなってしまいました。


 お澪の母は娘を助けてほしいと乞いましたが、嵐の中村の掟を破った彼女のために船を出す者はいませんでした。そんな中、砂噛さがみ家の漁師だけは船を出すことを許しました。


 しかし、嵐は酷くなり、助けは間に合わず、お澪は荒れる海に落ちました。

 そして、人魚になったのです。


 砂噛家は哀れに思い、お澪の母を最期まで面倒を見ました。

 お澪は母子を助けてくれた砂噛家、ひいては島民たちに恩義を感じ、人魚となって島にさまざまな恩恵を齎しました。



 お澪と島民のような真心を忘れず、潔い気持ちで参拝しましょう。



 砂噛さがみ豊雄とよお

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