記憶の欠片 始まりと事の始まり 2
彼との日々は幸せだった。
連絡していた時と同じように私が辛い時には励ましてくれて、悩んでる時には相談に乗ってくれて、私が会いたいと言えばすぐに会いに来てくれて。こんな幸せはないと思った。
ただある日、急に邪気が私を襲う。
ずっと考えないようにしていたことがあった。
それは、彼の励まし方、相談の乗り方、スキンシップの取り方が今も昔も全く変わらないということ。
私はだんだん彼の魅力がわからなくなってきてしまった。いや、わかりすぎてしまった。熟知してしまったのだろう。次彼がなんて言うか、どうやって私を励ますか、彼が話しだす前にわかる。
彼の何が良いんだろう。いや、彼は優しい。優しいところは私が一番好きなところ。でも優しすぎる。私が言ったことを全部受け止めちゃう。私には何もくれない。
色々なことが頭の中を泳ぐ。
私は気付けば治安の悪そうな都心をフラフラ歩いていた。ネットをうろうろしてる時のように、何かを探していた。
「君、大丈夫?」
急に声をかけられた。
ナンパかな?と私は思った。一般的に美人と言われるくらいの容姿を持った私はたまに声をかけられることがあった。
「何?ナンパですか?」
「いや力無く歩いてるからさ、心配になったんだよ。」
「へぇー。」
面白いなと思った。ただ心配したくらいでわざわざ声をかけてくるなんて。
「ねえ」
「ん?」
「私と今晩遊ばない?」
楽しそうだと思った。見た目もややチャラい感じで、女の子が魅力を感じる感じの良い男だ。ああやって言ってるけど、どこかにその気もあったんでしょ。
その日彼とは一緒に食事をし、お酒を飲んで、私は優馬の存在を話さず、私自身も考えなかった。
そしてその日は、
彼と一晩を共に過ごした。
それが2人目の彼、光瑠との出会いと
『事の始まり』である。
純粋に楽しかった。なんでも受け身な彼とは違って、ちょっと積極性があるけど私のことも気遣ってくれる。全部見透かしたかのように私と接してくる。その感じがたまらなくクセになった。
そして、2人目というこの背徳感も私の心をくすぐった。
浮気だと言う自覚はある。でもバレなければ誰も不幸にしない。私はもっと幸せになれる。ずっとそう思って続けてきた。
でも、今はどうだろう。
人を自殺に追い込んで、後悔したのではないか。でも、もう引き返せない。
私は本当に幸せなのかな。
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