第85話 リリィ達は魔王国へ

何分、爆発が続いたのだろうか?


まだ頭の中で音が鳴り響いている感覚がある。


しかし、爆発はおさまっている。

しかし、地獄剣山のトゲ山が崩れている関係で砂煙がたって、煙幕のようにフミヤ達の視界を遮っていた。


(………ぶっ無事か?

ララさん……コリー隊長。

春麗……カグラ。)


すぐ横で【ロックウォール】を解除する音が聞こえた。


そして、声がした。


「………ふぅ。ギリギリだったのです!

フミヤ様!ララは無事なのです!」


その横からも声がする。


「なんとか持ち堪えました!」


コリー隊長だった。


(春麗!カグラ!生きているか!答えろ!)


後ろで音がした。


「……くっ!……なんとか生きてる。」


「生きているあるね。」


全員生きてるようだ。


(視界が晴れたら、お前らはチェンを。

俺は邪神カシエラを。)


「「「「了解」」」」


風が砂煙を巻き上げる。


そして、辺りを晴らしていく。


邪神カシエラとチェンは、律儀に同じ場所で立っていた。


【あら、生きているようね。

なかなか、しぶといじゃない。】


(律儀に待っているなんて、えらく余裕じゃないか!?

皆行くぞ!)


フミヤ達は、邪神カシエラとチェンに向かっていくのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


魔王ゾルドの転移魔法によって、戦いの場から離脱したリリィ、アル、ウル、セシル姫は、魔王国魔王城にいた。


リリィが魔王ゾルドに噛みついていた。


「何故!何故!あの場から去ったのですか!

私には、癒しの力があるのです!

私は、フミヤ様の力になれた!」


魔王ゾルドは、リリィを落ち着かすように諭しながら答える。


「それは、あの青年が指示したことだ。

私が決めたことではないんだよ。リリアン。

其方も、あの青年の言葉に納得していただろう?"死にたくても死ねない体"と言う言葉に納得していたではないか。

それにあの青年は、かなりの強者と私は認識した。

あの場にいても彼の邪魔になると判断したんだよ。」


「……そうかもしれませんが!

ララさんとコリー隊長は、それでも残りました!

あの二人が残って私が残らないのは違います!」


「リリアン。それは、嫉妬というものか?

其方の言葉の端々に自分が彼の一番だというのが見え隠れしている。

彼の一番だと言うなら、彼の言葉を信じてやるのがリリアン、お前のすべきことではないのか?

彼は、必ず迎えに行くと言っていた。

信じて待つのだ。」


「うっ…………」


すると、ウルがリリィの背中に手をあて言う。


「リリィさん。その通りだと思うよ。

僕も心配だけど、今すべきことは、フミヤ様に言われた通り、姫を守ることだと思ってる。

姫を守る為にも、リリィさんが居てくれないと。僕らだけで魔王国の魔王城は肩身が狭すぎるもん。」


アルが言う。


「いくら、魔王様がリリィさんの父上だとしてもリリィさんがいるといないとでは大きく違いますわ。」


セシル姫も言う。


「リリィさん〜……いえ違いますわ〜

ここでは〜リリアン王女とお呼びしないと〜駄目ですね〜。

心配ですけど〜ここで〜フミヤ様達を待たせて頂きましょう。」


リリィがセシル姫の言葉に焦って答える。


「まっ!待ってください!王女だなんて!」



そこに、竜人の男が現れて言う。


「王女ですぞ。リリアン王女様。

魔王ゾルド様のお嬢様なのですから。

はじめまして。宰相をしております。メビウスと申します。

よろしくお願いします。

今お部屋をご用意していますので、もう少々お待ちください。

お連れの方々も魔王城では、ゆっくりとお寛ぎください。」


すると、魔王ゾルドが口を開く。


「メビウス。滞在中は、魔人族は城に入れるな。良いな。」


「ゾルド様。お任せを。

すでに、キャビン団長が騎士達に指示をだしております。

王女様とそのお連れの方々も、滞在中は城から出られることのないようにお願いいたします。

王都は、魔人族が多いので必ず絡んできますので。」


アルが口を開く。


「魔人族は、我々をやはり歓迎はしないのですか?」


宰相メビウスが答える。


「全ての魔人族とは言いませんが、ほぼ魔人族は過激派だとお考えください。

城に居る竜人族、巨人族、鬼人族、翼人族は全て穏健派ですのでご安心ください。」


魔王ゾルドが言う。


「メビウス。ラークであろうと城には入れるなよ。」


「ハッハッハッ。ゾルド様。

ラーク様は、昨日追い出したところでございます。

ですので当分は、大丈夫でしょう。」


「やはり、来たか。

"何故攻めない魔族の領地を何故増やさない"

奴は、そればかりだからな。

過激派の旗頭だろう?

我弟ながら、あの過激派思考はうんざりだ。」


「……ゾルド様。その件で少しお耳に入れたいことがございます。

別室でよろしいでしょうか?」


「わかった。

それでは、リリアン。

そして連れの方々。ゆっくりしてくれ。

それではメビウス。行こうか。」


ゾルドとメビウスは部屋を出ていったのだった。


セシル姫が口を開く。

「竜人族の方を〜初めて拝見しましたが〜魔族の国に本当にきたのですね〜

実感しましたわ〜。」


「そうだね!僕、巨人族を見てみたいな。

どれだけ大きいんだろ?」


アルが言う。


「城には、竜人族と巨人族、鬼人族、翼人族しかいないと言ってましたわ。

エルフの里の爺達に聞いた話通りでしたわ。

魔王ゾルド様が魔人族でも穏健派だから、魔族が攻めてくることはないって言っていたけど、本当にその通りなのですね。」


アルが喋りきったところで扉が開かれた。


そこには、メイド服を来た身長が3メートルくらいある女性が立っていた。


「リリアン王女様。お初におめにかかります。

メイド長をしております巨人族のミケと申します。

リリアン王女様とお連れの方々のお世話をするように言われております。

早速ではございますがお部屋のご用意ができましたのでご案内いたします。

どうぞこちらへ。」


ウルは、早速巨人族を見れたことに目が輝いていた。


四人は、メイド長の巨人族のミケに付いて行くのだった。

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