第83話 スキル合戦

チェンの分体との戦いになったフミヤ以外の者達。

ウルと姫はフミヤの指示通り二人で分体と対峙している。


リリィは全体を見回せる場所に陣取り全体の後方支援に徹する。


ララは、メリケンサックを両手に嵌め、いつでもチェンの分体に殴りかかれるように準備万端だ。


コリーは、姉の黒魔女ダビエラの仇を目の前にして、怒りの表情で剣を抜きチェンの分体を睨みつけている。


アルは、自慢のアルの剣を抜き、やる気満々だ。


春麗は、円月刀を手に淡々とした様子でチェンの分体に対峙していた。


春麗の護衛のカグラは、春麗との距離感を意識しているようだ。

何かあれば、すぐに春麗を守れる位置でチェンの分体と対峙していた。


魔王ゾルドは、チェンの分体、二体を相手するため対峙していた。


それぞれの戦いが今始まろうとしていた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ララに大量の蛇が襲いかかる。

それらを、ララは両手に嵌めたメリケンサックで殴り飛ばしていく。


殴られた蛇は、頭が潰れて地面に落ちていく。


フミヤのスキル【分与】によって分け与えられた【剛力】がララと、すこぶる相性がいい。


向かってくる大量の蛇を殴り飛ばしてチェンの分体の懐に潜りこむと、そこからは分体をタコ殴りだ。


あの感じだと早々に決着がつきそうだ。


アルは、アルの剣で大量の蛇を切り刻んでいる。

こちらは、フミヤから【分与】された【疾駆】を使ってスピードを生かした移動でチェンの分体を圧倒していた。


ウルとセシル姫は、ウルが襲ってくる大量の蛇をウルの盾で防ぎセシル姫に蛇の攻撃がいかないように姫の盾としての役割を全うしていた。

セシル姫は、ウルの盾から一瞬出て矢を早撃ち。


チェンの分体に確実に当てていた。


時間は掛かるだろうが、確実な戦法だ。


コリー隊長は、近衛騎士隊長らしく守りを重視しながら剣を振るっていた。


こちらも危なげのない攻防一体の戦いだった。


春麗は、舞を舞っているかのような戦いぶり。

円月刀で蛇とチェンの分体に確実にダメージを入れていた。


カグラも、拳法のような体術とナイフで蛇とチェンの分体にダメージを入れている。


魔王ゾルドは、チェンの分体二体を相手にスキル【重力増】を使い、優位に立ち回っていたのだった。


そんな中、フミヤと邪神カシエラの戦いは熾烈な戦いとなっていた。


【死者の行進】

邪神カシエラが先程のアンデットを呼び出す。

すぐさまフミヤが【活火激発】を発動する。

マグマがアンデットを飲み込み邪神カシエラをも飲み込もうとする。

しかし、【海流】。

邪神カシエラから途轍もない水が溢れ出しマグマを冷やしていく。

そして、その海流がフミヤを襲おうとする。


【ロックウォール】

フミヤを襲おうとしていた海流は、地から岩がせり上がり岩の壁となりそれを受け流したのだ。

すぐさま邪神カシエラが【ウインドカッター】を発動。


岩の壁を切り刻む。


そして、フミヤに目掛けて飛んでいく。


フミヤは、魔剣ブラックローズを抜き、振りながら【斬撃】を発動。


フミヤに目掛けて飛んできていた【ウインドカッター】と【斬撃】が衝突し、お互いが打ち消したのだった。


スキルのぶつかり合いが一瞬のうちに繰り広げられたのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ララのパンチは加速していった。

ボクシングで言えば、最後のラッシュ状態。


拳聖を名乗るララ。そのパンチはフミヤですら嫌だというものである。

チェンの分体は、もうボロボロ。


ララは、最後に一瞬かがみ込み、下から伸びるようにアッパーカットを放った。

チェンの分体の体が浮き上がり、そのままぶっ倒れた。


「ふぅ〜ふぅ〜ふぅ〜

スゥ〜ハァ〜スゥ〜ハァ〜

ふぅ〜。

よし!息が戻ったのです!

やっつけたのです!一番なのです?

姫とウルの加勢なのです!」


ララは、乱れた呼吸を整えて周りを確認し、一番苦戦をしているであろうセシル姫とウルの加勢に走った。


テケテケテケテ〜

ララが駆ける。

見た目子供の可愛らしい小人族の姫。

しかし戦闘力は、このパーティではフミヤについで2番目に高い。

現に5剣神の春麗より先にチェンの分体を撃破したのだから。


ララが駆けつけた時、ウルは全身から血を流していた。

セシル姫を守るために攻撃を全て一人で受けていたからだ。


「ウル!大丈夫なのです?!

ララが来たのです!

任せるのです!姫!援護なのです!」


「……ララさん……僕……

不甲斐なくてごめんなさい。」


「何言っているのです!

明らか、ウルと姫が相手していたのはチェンの本体なのです!

分体と圧が違うのです!

姫が無傷なのはウルが頑張った証なのです!

それでこそ姫の盾……いや、ガーランド王国の盾なのです!

胸を張るのです!」


ララは、ウルを誉めた。

すると、その時傷ついたウルの体を優しい光が包み込む。


【大聖女の癒し】

リリィだった。


ララは、リリィに手を振りチェンの本体に対峙する。


【分体が倒されたというのですか?

この小人族に。

あの小僧の次に厄介なのは、貴方のようですね。春麗かと思っていましたが。

フフフッハッハッハッ。

分体と同じだと思うなよ。

すぐに、殺して差し上げます。】


「ララさん!僕もいけるよ!」


「ウル!姫の援護射撃にはウルの盾が必要なのです!頼むのです!

姫!ここから、大逆転なのです!

恋愛と同じなのです!恋愛も大逆転なのです!」


「はい〜ララ先生〜頑張ります〜」


チェン本体vsララ、ウル、セシル姫の戦いが始まろうとしていた。

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