第80話 誕生
チェンは、魔王ゾルドに向けて蛇を出し続ける。
魔王ゾルドは、襲いかかる蛇と堕天使カシエラの猛攻を槍で必死に抑えかかる。
チェンが指先を上下に振るう。
すると、蛇が二手に分かれた。
チェンに飛びかかる蛇の大群と、地を這い下から攻める蛇の大群に分かれたのだ。
魔王ゾルドは飛び掛かってくる蛇を槍で薙ぎ払いながら襲ってくる堕天使カシエラも一緒に薙ぎ払う。
その時だった。
地を這う蛇の大群が、いつしか一匹の大蛇になっていたのだ。
そして、その大蛇は魔王ゾルドに巻きつく。
魔王ゾルドは大蛇によって体の自由を奪われる。
【肉体増強】
魔王ゾルドはスキルを発動した。
魔王ゾルドに巻きついた大蛇を体の筋力で引きちぎる。
しかし、一瞬の奪われた自由を堕天使カシエラが見逃さなかった。
魔王ゾルドを正面から羽交締めにし、首元にかぶりつく。
魔王ゾルドは必死に抵抗するが堕天使カシエラは離れない。
牙を突き立てまるでヴァンパイアのように、魔王ゾルドの血を吸い始める。
堕天使カシエラの体が輝きを強めていく。
堕天使カシエラは血を吸い上げるのを止めない。
堕天使カシエラの表情が恍惚の表情にかわり、カシエラの全身の血管がボコボコと波打つ。
そして一層光を放った時、堕天使カシエラは魔王ゾルドを手放した。
「…くっ!化け物が!」
体に力の入らない魔王ゾルドは、アイテムボックスから小瓶に入った液体を取り出し、飲み干す。
ポーションの類のようで、一瞬で魔王ゾルドの体は活性化したのだ。
堕天使カシエラは光に包まれる。
まるで光の卵になったかのようだ。
その光が霧で覆われた薄暗い地獄剣山を照らす。
「ふふふっハッハッハッ!
いよいよだ!いよいよ覚醒の時なのだ!
堕天使から邪神へ!
ハッハッハッ!カシエラ!
邪神となり我の糧となるのだ!
ふふふッハッハ!」
チェンの高笑いが地獄剣山に響き渡る。
堕天使カシエラを包んだ光が徐々に落ち着いていく。
卵のように光輝いていたのが光だけが消えていく。
そして黒の卵がそこに残る。
そしてヒビが入り、そのヒビから指先が出てくる。
まるで、卵を割るかのように、両手でその黒い卵を破いた。
中から出てきたのは、黒いドレスを着た真っ黒な髪のカシエラの姿だった。
堕天使の時の羽はなくなり見る限り人族と変わりのない姿であった。
違うのは、体の周りに漆黒のオーラが立ち上がっていること。
そして、その漆黒のオーラがカシエラの頭上に集まっていく。
その漆黒オーラが固まっていく。
そして形を成していく。
カシエラの頭上に漆黒の輪っかが出来上がる。それは何よりも黒い漆黒の輪っか。まるで光輪のようであった。
違うのは黒い輝きを放ち、カシエラに漆黒のオーラを浴びせて、堕天使の時より更に邪を凶器的に強めたものであったのだ。
そして、カシエラが口を開く。
【我は、邪神カシエラ。
全てを漆黒の闇に変える者。
邪神を導く者、チェンよ。
我に何を望む。】
気付くと、チェンは邪神カシエラに対して跪いていた。
チェンは答える。
「……おお!邪神カシエラよ!
私の邪神カシエラよ。
私ももっと高みにのぼりとうございます。
是非お力を与えてくださいませ!」
【力を欲すると。邪の力を欲するのですね。
良いでしょう。
私の眷属となりなさい。
邪の大蛇となるのです。】
邪神カシエラはチェンの頭に手を添える。
チェンに漆黒オーラが流れ込む。
すると、すぐに変化が起きる。
チェンの体がボコボコと波を打ち始め、姿が変わっていく。
8本首の大蛇の姿に変わったのだ。
それを見た魔王ゾルドが声を上げる。
「チェン!貴様!本当に化け物になったではないか!
一体なにがしたいのだ!
その姿になるのが貴様の本望なのか!」
すると、8本首の大蛇が声をあげる。
「ふふふッハッハ!
今は大蛇の姿だが、人型にも変われるわ。
我は、長年崇めていた大蛇となったのだ。
邪神カシエラの眷属、邪の大蛇としてな!
ふふふッハッハ!」
そう言うとチェンは8本首の大蛇の姿から人型に戻った。
先程と違うのは、チェンの体に漆黒のオーラが纏われていること。
魔王ゾルドは、槍を構える。
すると邪神カシエラが口を開く。
【我に槍を向けるか。
愚かな。ふふふっ。
良い余興を思い付いた。
ふふふっ。生き延びて見せろ。】
そう言うと邪神カシエラは、両掌を胸の前で組み祈る。そして、言葉を吐く。
【死者の行進】
邪神カシエラの頭上、漆黒の光輪から漆黒の霧のような物が溢れ出す。
その霧が地に染み込んでいく。
すると、すぐに異変が起きる。
地響きがしだし、地からスケルトンやアンデットが溢れ出してきたのだ。
その数、一瞬で千体。
一瞬にして魔王ゾルドはアンデットの大群に囲まれてしまったのだった。
そのアンデットは更に増えつづけている。
魔王ゾルドと終わりのないアンデットとの戦いになるのだった。
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